目黒さんの心霊的事件簿ファイル
目黒さんの心霊的事件校庭相談室
世間では所謂黄金週間を終え、学生である僕と目黒さんも例外なく体育祭の準備に励む日々が続いた。
目黒さんは日に日に太陽の日差しと紫外線が強くなるのを嫌がって最近は屋上にいない。変わりに目黒さんは校庭の隅にいつものパラソルを差し、いつもの椅子とテーブルを出して校庭と校舎を仕切る柵に上体をよりかからせて某井戸やらテレビから出てくる女の霊になっていた。
そんな目黒さん、美人で性格が悪いのがいつもだけど今日はいつもと違って美人で弱弱しかった。
「やぁ、目白くん。体育祭の準備は進んでいるかね」
「ええと目黒さん。体育祭のことより自分のことをですね」
「ああ言いたいことはわかってるから言わなくていい。君も少しはわかるようになったじゃないか」
「そりゃ毎日のように目黒さんに呼び出されて顔を合わせて話してますからね」
酷い言いようだが、目黒さんが僕の心配をする時は大体は自分に被害や飛び火が及びそうになる場合、だ。
それに、目黒さんが何故体育祭の心配をしているかというと。
眉目秀麗。容姿端麗。文部両道。正に天才の二文字を手を伸ばして取ってしまったような凄い目黒さん。実は生徒会長で体育祭の準備が終わらず、あたふたしている目黒さんたちの配下にいる生徒達(という名の役員)の代わりに彼女は後処理に追われてこの様だ。
最初から指示をすればいいのに、と思う所を目黒さんは
「最初から指示をしていては下で動く人間は馬鹿になる」
とのこと。
ごもっともな言い草ではあるが…恐らく単純に目黒さんが指示を出すのが面倒なだけだと思う。
ただ、目黒さんの下で働ける人間というのは優秀かつ目黒さんの意思を汲み取ることができる人間が多いのでその必要はあまりないのだが…今年の体育祭は(毎年のことだが)生徒が多く校庭が狭いということ急遽グラウンドも使おうという意見が出たがなかなか学校側の許可が降りず、今生徒VS学校の真っ最中で目黒さんは生徒側のリーダーで意見をまとめ+体育祭の準備でこの状態。
学校側もそれに対抗してか、体育祭の手伝いを行わない。元々生徒達を主体に行ってた学校行事だが何もしないという状態である。
その結果、目黒さんは二日酔いで太陽の日差しが辛いサラリーマンとなっている。
「所で目黒さん」
「何だ目白くん」
「いい加減休んだ方がいいと思いますよ」
「小さな親切大きなお世話という言葉を知っているか?」
「知りませんよそんな言葉。僕は理系だと言ったでしょう」
「そうか。じゃあ理系は理系らしく、テントの設置でも手伝って来い」
そう言われるがままに僕はテントの設置を手伝ってくるのである。理系とテントは関係無いと思うけれど。
作品名:目黒さんの心霊的事件簿ファイル 作家名:むいこ