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目黒さんの心霊的事件簿ファイル

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僕の周りが酷く冷たくなるのを感じた。目黒さん曰く、冷たい部屋や空間なんかでは出る、というのを聞いたことがある。
実際にそんな感じに霧のようなものが僕の体に吹き付ける。
「お前の住処は其処じゃない。お前の場所は西の方にあるだろう。そいつはお前の住処には適さないぞ。なんせそいつは多くのものをつれてくるからな。」
目黒さんのいつもとは違った意味での冷たい声が更に僕の体感温度を下げた気がした。
僕には目黒さんと喋っている奴の声が聞こえないので実質目黒さんが独り言を喋っているように聞こえる。
「道連れしてもいいがそいつは必死に抵抗するぞ?絶対お前は死ぬぞ確実に。それでも持っていこうとするか」
この、心霊風情が、と目黒さんは吐き捨てた。目黒さん、絶対僕の心配してませんよね。
その瞬間。僕の体がふわっと宙に浮かぶ気がした。声が出そうだったが後で目黒さんに怒られそうなので上唇を噛み締め耐えた。
「お前がそうするなら…私はこうする、ぞっ!」

次の瞬間、僕は目黒さんに蹴飛ばされた。目を閉じているから何が起きているかわからないし、どこにいるかわからない。
ただ、分かる事がある。
その1、僕は目黒さんに蹴飛ばされた。その2、なんかガコッて音がして細長いのが僕の体に当たってる。その3、何で僕の足元には地面がないの?

「目白くん、目ぇ開けていいぞ!ただし本は離すな!」

その4、目を開けたら真上にお空がありました。

「…っ、どうしてこうなったあああああああ」

推測1、目黒さんが自殺と見せかけて僕を殺そうとしてる。推測2、風で落とされた。推測3、霊的な何かが僕を殺そうとしてる。
「3がいい、なぁ!!!!」
「目白くん、本を開け!」
いきなり何を言うかと思いつつも本を開く。

その瞬間、僕の体の周りに本のページが1枚1枚まとわりつく。
その量は、僕がさっき読んだ本のページ総数みたいに。
本のページがクッション代わりになって、僕は無事に地面につくことができた。

「…助かった」
「目白くーん、生きてるかーい」
目黒さんが屋上から手を振り、こっちの安否を確認している。
しかし安否を知らせる前に僕は気を失った。

憑かれたものは、確かにおとされた。