目黒さんの心霊的事件簿ファイル
「ところで目黒さん」
「なんだい目白くん」
「僕には一体いくつついてますか?」
目黒さんは柵から離れ、僕の周りをぐるぐる回り、見回すように僕の体を見た。
ふむ、と声を漏らし目黒さんは1人納得したように顎に手を当てる。
「君、また厄介なのを持ってきてくれたね」
「はい?」
厄介なの、と言われても僕には姿も形も見えないし名前を言われてもどういうのかわからないから何とも言えないし、形しかわからないので何とも言えない。
「霊園とかに行っただろう、君」
「行きましたけど…それが、何か…?」
目黒さんは言いにくそうな顔で暫く口ごもったが遂に口を開き、腕を組んだ。
「君の後ろには、著名人がくっついてるんだよ目白くん」
「えっと…著名人って…有名人のことですよね…」
「そうだよ目白くん。君は本を読まないのかい?」
「すみません、理系なもんで文章を読むのはちょっと…」
「理系でも文章が読めなければ問題は解けないだろう。本は読むといいよ。特に舞姫とか人間失格」
「それはこの間目黒さんが鬱エンドで嫌だって言ってた作品じゃないですか!嫌ですよ!」
目黒さんはこの間、昔の有名作品を読んだと言っていて感想はどうしてしたか?って聞いたら鬱エンドだったという言葉が青ざめた表情と共に彼女から出てきたのだった。
普段目黒さんは何でも読んでああだこうだ口を出したりするのに対し、あんなに彼女をコテンパンに仕留めた作品はこれから出るのだろうか。
「目白くん、君には本を読んでもらうことにしてもらうよ」
「どうしてそうなるんですか」
そういい終わった時、目黒さんの傍には大量の本があった。
作品名:目黒さんの心霊的事件簿ファイル 作家名:むいこ