小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

目黒さんの心霊的事件簿ファイル

INDEX|27ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 



部室棟の中に入れば古い建物でコンクリートで作られた部分に所々ヒビが入っているのがわかる。
老朽化が進んでいて、雨漏りがあったり塗装が剥げている部分も見られる。

部活棟はプールの下にあって、部室ごとに部屋がわかれてる。
前々から部室棟は建て直すという話がでていたのだが目黒さんがいうものが影響しているなら立て直せないはず。
だから今の今までできていなかったのだと思う。

「目黒さん、目黒さんがいる以前にも目黒っていたんですか?」
「ああ。この学校の創立から私までの代まで、学校には目黒は在籍していた」
「ずっと目黒さんや他の目黒がいるのに、部室棟に前々からいて気づかれず潜伏しているって可能なんですか?」
「この校舎自体も古いこと建っているし、本格的な建て直しの話は今回だ。…それは私もよくわからない」
目黒さんにも、わからないことはあるのかと少しだけ安心した。それでも、万人がわかるものではないけども。

「だが、努力はする。それは目黒の意思ではなく、私の意志だ」

目黒さんは、かっこいいと思う。
2年になる前、目黒さんはずっと一人で戦ってきたのかと思うと彼女は勇ましいと思う。
それだけに見合う経験や知識も蓄えてきたのだろうと感じた。


「1つ1つの部屋を調べるのは恐らく時間が足りない。複数だと私も君も大丈夫かどうか」
「えっ」
「大丈夫、君の屍も拾ってくれるよう連絡はする」
「そういう問題じゃありません!」

ジョークだと目黒さんは言っていたが目が笑っていなかった。

部室棟の中を歩いてみると意外に明るい。
しかし夕日が差し込んでくる時間になると危ないと目黒さんは言っていた。
僕が助けられた時間も、確かそんな時間帯だった。

目黒さんが歩くのを止めて、僕に後ろに来ないようにと腕を伸ばす。
「…目白くん、来るぞ」

建物がミシリ、と鳴らした瞬間に突風が僕達を襲う。
生暖かい空気。体中を這う感触はよりいっそう気持ち悪くさせる。

「私の後ろから離れないようにしてくれたまえよ」

目黒さんは僕の前に盾になるように立った。
それでも風は治まらず、彼女の髪は後ろになびいてる。
そんな状況にも関わらず、目黒さんの髪に見惚れてしまうくらい美しくなびいていた。

「やれやれ。面倒くさい」

目黒さんはスカートのポケットから何か白い束のようなもの出して広げる。
束というよりかは、お寺のお坊さんがお経を唱える時に見るような紙。
それを数枚一枚ずつびりびりと破り、足元に投げて刺した。刺したというかは刺さったの方が正しい。

「刺さっ…」
「ああ、札だよ。地脈の力を借りて盾にしているんだ。刺さった度合いであっちの強さを測ることも」
七夕に飾る短冊くらいの長さをしているのに三分の一くらい刺さっている。
「ま、弱いと思えば弱いがどうかな」

束をまとめて右手に持った目黒さんは、地面に刺さっている札を一枚取って見えぬ相手の方向に刺した。
恐らく、相手に自分が見えていることを知らせるために投げたのだろうが気づいているかどうか。
気づいたとしても、抵抗手段がなければ殺される、と以前目黒さんが言っていた。

「お前の相手は私だ。これ以上学校を荒らすのはやめてくれないか。私が校長からどやされる」
「えっ自分の心配!?」
「学校は確かに好きだがな…それ以上に怒られるのもお前に壊されるのも私は苛立ちが収まらない」

確かに目黒さんは用事がなければ学校の何処かにいる。
ナルシストで、理論で動く所もあるけど学校が好きなんだ。

風が止んだ。気配が変わった。
「目黒さん、来ます…!」
直感がこっちに何か来るっていうことがわかる。

「そう慌てるな目白くん。これでも私は…」

目黒さんが来たであろう何かを右手に持っていた束を扇子を一発で開ける様に流し、相手に巻きつけて締め上げる。

「第三十代目、目黒なんだぞ?」

綺麗にターンして僕を見た時にはそこには紙切れしか落ちていなかった。