目黒さんの心霊的事件簿ファイル
「花壇について何でも?って言われてもなかなか出てこないよ」
「言われてみれば確かに」
「でも、今花壇付近って何故か立ち入り禁止っていう」
「むしろこっちが聞きたいくらいだけど」
普通だったはずの頼みがいきなり無理難題になった気がした。
思った以上に、この頼みがとても辛いがこれは少し頑張らないと目黒さんに後で何を言われるかわからないので頑張ることにした。
ましてや、目黒さんが他の誰でもない僕に頼んだことだ。
言われたからには、頼られたからには、期待されているってことじゃないのか?
頑張るしか、ないじゃないか。
休み時間も、花壇の事について聞く。
昼休みも、放課後も、掃除の時間も。暇な時間があれば休憩よりも話を聞きに回った。
「花壇?そういえば、なんか血が流れてるっていう噂聞いたよ」
「そんな話聞いたかも…でも、どうしてだろ」
「桜の木の下に死体が埋まってる!とかそういう類?」
「そういうのだったら、花壇掘り起こしたら死体が埋まってて植えられてる植物から血が出るとかそんな感じ?」
「なんかそういうのってうちの学校にありそう」
話を聞いた中でも、『死体が埋まってるのでは』『いわくつきの植物』『何か隠されている』という話が多かった。
うちの学校はそういう話はあまりそういうのはないと思っていたけれど…好きな人は好きで、王道な話が出てくるそうだ。
とりあえず、これを目黒さんに渡しに行こう。
話はそこからだ。
教室から出て、目黒さんのいるであろう生徒会室に行こうと階段を降りようとすれば踊り場の窓から雨が降っていることに気づく。
また、雨か…と思えば階段が濡れていることに気づく。天井を見ても、雨漏りをしているようには見えないし…。
うちの学校は、傘を教室まで持っていって置く学校だからそれで誰か濡らしたのかな。気をつけて降りないと。
ドンッと後ろからの軽い衝撃と、濡れた階段に足を滑らせてるのに気づいた頃には周りの騒いだ声が煩いと感じたのはほぼ同時で。
背中を引きずるように僕は階段から落ちた。
僕を心配する声を聞いて、大丈夫なように平気な顔して立ち上がる。
周りから歓声があがるがそれ程凄いことか?と思える。
特に痛い所はないと思うけど、こういう怪我はアドレナリンが出てるから痛みに気づきにくいって目黒さんから聞いた。
…とりあえず、僕は目黒さんのいるであろう生徒会室に向かった。
今日も雨は天から地へと流れていく。
激しく、激しく。
作品名:目黒さんの心霊的事件簿ファイル 作家名:むいこ