自選句集
2013年
白き指もて蜜柑をむいてくれし人
話すこと特にはなくて雑煮喰う
寝間にまでシチューの匂い春兆す
この桜をずっと見ようねってあの嘘つき
我ら皆生存者なり春嵐
木蓮散る眠る仔犬の上にまで
茄子植えて君と京都の話など
南風君のブラウスふくらませ
小さき蛙ちいさき虫を狙いおり
貸ボートひょいと乗り込む夏帽子
やうやうに光戻りて揚羽蝶
天と地に別れし人よ星祭
振り向けば坂の下なる夏港
農夫らの臍まで濡らし夕立去る
野良着脱ぐ肩に貼付く残暑かな
君去りてなおふたたびに稲実る
忽ちに精霊蜻蛉の国となる
ひと房の葡萄無言で手渡さる
あらこれも要るのと君は唐辛子
まな板の大根の白のふてぶてし
捨つるもの山ほどありて師走かな
また今日も後ろ姿の兎かな
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ネットで俳句の勉強をしていたら金子兜太が名誉会長の「現代俳句協会」というサイトがあって、「ネット句会」をやっていました。
わたしは他の句会でちっとも点が集まらない口語句をここに出すことにしました。
たとえば「あらこれも要るのと君は唐辛子」
つまり、作った句が伝統的だったら趣俳句会と大瀬戸句会、そうでなかったら現代俳句協会へ。