小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

聞く子の約束

INDEX|30ページ/51ページ|

次のページ前のページ
 

第13章 勝負の時間



 悪夢の飲み会が終わり、お姉さんたちは電話をかけに行った。迎えの男を呼んでいるのだ。もう夜中の1時頃なのに、それでも男達はやって来る。
 僕もその辺をちゃんと心得ていた。普段ならキクちゃんの乗るタクシーを、店の前で見送って別れるのだけど、キクちゃんはまだ手をつないだまま、少し暗い表情だったので、(今日はマンションまで、送った方がいいかな)と思っていた。

 キクちゃんと帰る方向が同じという既婚者も合わせ、三人でタクシーに乗った。キクちゃんが奥で、僕が真ん中、そのオマケは先に降りるので最後に乗った。僕は道中、店と同じように手をつなぎ黙って目を瞑っていたけど、お姉さん二人は静かに話していた。一人が降りてからは、黙って何も話さなかった。

 キクちゃんのマンションに着いてから、僕はタクシーを一旦降りて、キクちゃんを降ろし、またそのタクシーに乗って帰ろうと思っていたら、キクちゃんが運賃を支払ってしまった。
(えっ。僕はどうやって帰ればいいの?)と思って突っ立ていると、キクちゃんが僕の手を一瞬引っ張って、マンションの方に歩き出した。(これは!?)

「部屋入っていいの?」
と聞くと、確かに彼女はうなずいた。嬉しくなってまた彼女の手をつなごうとしたら、今度は振り払われてしまった。
(なんなの? 恥ずかしがってるのかな)
と思っていたけど、今になって冷静に考えると、真夜中とは言え、自宅マンションに男と手をつないで入るところを、近所の住人に見られたら困るからだったのかなと思う。

 部屋に入ると、3LDKだったか2LDKだったか忘れたけど、リビングはスッキリしていて、少しテーブルの上を片付けたり、コタツ周りやソファ上のものを除ける程度で十分だった。僕はキクちゃんが寝室で着替えてくるのを、コタツに入って待った。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)