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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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聞く子の約束

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 その後少し中休みと言うか、静かになる瞬間ができてしまい、僕はこれをチャンスに周囲のお姉さんたちに、キクちゃんの本命の彼氏はどんな人なのかを聞いてみようと試みた。
 途端に周囲の目の色が変わり、冷やかしてやろうという雰囲気を感じた。その時のキクちゃんは冷めた目で僕をにらんでいた。

「キッコ! こんなこと聞いてる!どうする?」
(キクちゃんに振るなよ!)
と焦った。
「彼氏いないよねー」
と白々しいセリフ。
あまりに露骨にキクちゃんイジメになってしまうと困るので、おどけながら、
「いつも僕にばっかり喋らせて、キクちゃんは自分の事、全然教えてくれないし」
と、ちょっと甘えて言ってみたら、皆静かになって、そこへキクちゃんが、
「私、貴久子(聞く子)だから」
と、だるそうに言った。
「アハハハハハ」
なぜか皆は爆笑。
(この会話パターンは、他の男達にも繰り返されてきたのだろうか?)

「そう言うヒロは、キッコのことどう思ってんのよ?」
(おっと。そうきたか)僕は急な切り返しに、なんて答えようか、一瞬戸惑ってしまった。
「男でしょ、はっきり言えば!」
この言葉に触発されて
「大好きです」
心にも無く答えてしまった。
「アハハハハハ」
また爆笑。まんまとやられてしまったと思ったが、その時はキクちゃんも、笑いを我慢できなかったようだ。こういう嬉しい時には、顔に出てしまう人なので分かりやすい。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)