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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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聞く子の約束

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 実際、お金持ちのお姉さんに連れ回されているだけなのだが、全然いやな気はしない。それは、一緒に居られることがうれしかったのと、この頃から少し、(自分にも、彼女にも交際相手がいるのに、お互いに問題ないレベルで秘密を共有している)というような理解をし始めていたからだと思う。
 でも結構彼女は主張が強くて、閉口することもあったけど、すべて奢って貰っているスポンサーのようなもの。なすがままお姉さんの希望通りに動き回った。
 キクちゃんの金銭感覚は学生とは明らかに違い、使うところは使う。せこいところはまったく感じさせない。僕が缶ジュースを買おうとした際も、
「せっかくだから、お店に入って休憩しよう」
ちょっとの距離でも、
「タクシー乗ろうよ」
(無駄遣いする人だな)と思っていたら、
「10万円ぐらいなら、落としても平気と思わなくては」
と言われたので、僕とは生活水準が違うと分かった。

 二人の関係も学生同士とは違い、相手は大人。そこの仕切りははっきりしていた。僕は荷物も持たされたし、化粧直しで待たされることもあった。お姉さんから大人の感覚を指導されているような感じで、いろいろとまあ勉強になった。

 特によく言われたのが、レディファースト。ドアを開ける時、ついつい僕が先に入ってしまうことがあって、
「エスコートできてない」
と残念そうに怒られた。
 キクちゃんの家族は、祖父母が厳しかったそうで、礼儀やマナーについては、徹底して教育されたそうだ。また、国際感覚が豊かな家庭なので、お兄さん二人へ教え込まれたレディファーストの精神は、キクちゃんもとても重要と考えていただろう。彼女自身にもイギリスで彼氏がいたそうなので尚更だ。

 軽い気持ちで誘ったけれど、大人の女性を楽しませるスキルは、まだ僕には備わっていないと実感した一日だった。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)