小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
海野ごはん
海野ごはん
novelistID. 29750
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

‘50sブルース ララバイは私が歌ってあげる

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 

部屋の中から携帯のバイブレーションが無音で響いていた。
ソファーに放り投げてた玲二の携帯が鳴り震えていた。美和は歩み寄って手に取ると、
着信に見知らぬ名前の女性の名前が出ていたのを見つけた。
そして、数秒で切れた。

別れた彼女?

心がざわついた。

それから、今度はメールが着信した。
美和は玲二を見た。寝息を立ててぐっすり寝ている。悪いと思ったが美和はそのメールを開いてみた。

“玲二、起きてる?ごめん 謝りたいの
 よりを戻したいと思ってるから電話してくれる?“

玲二の女からだった。
美和の心臓は破裂しそうに、大きな鼓動を打ち続けた。
そして、いっぺんに嫉妬の念が湧いた。
玲二と携帯を交互に見比べた。

心の中の大きな固まりが更に大きくなって、爆発しそうだった。
急に息苦しくなった。

美和は玲二の携帯をソファーに置くと、気を落ち着かせるように外のバルコニーに出て行った。
そして、残り置いておいたワインを空になるまで飲んだ。
海風がよそよそしく過ぎてゆく。
心臓は相変わらず早鐘を打っていた。

海に向かって、フゥ~!と息を吐くと美和は部屋に戻り、先ほどの玲二の携帯の電源を入れた。同じ機種だから操作はわかる。
先ほどのメールを呼び出し・・・消去した。
彼女からの着信履歴も消去して、何事もなかったように操作を終えた。


ごめん、玲二・・・明日、私がやさしくするから・・・・。

狭い海峡にはまた、一隻のコンテナ船がゆっくり漆黒の海を航海していた。
音も立てずに。

(完)