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楡井英夫
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一輪の花が咲く
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ふと、遠い昔を思い出した。実家の庭に梅の古木があった。冬の終わり、淡雪が降る中白い花をつけた。蕭条たる冬景色の中で、ほんのり甘い香りを漂わせて春の訪れを教えてくれた。それだけで何だか幸せな気分になったものだった。娘もあの梅の花だと思った。そう思ったら、一筋の涙が流れてくるのを抑えることができなかった。
作品名:
一輪の花が咲く
作家名:
楡井英夫