ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~
そんな話をしながら城門を潜り表に出た。
果てしない大草原が私達の目の前に広がった。
「ふふふっ、今宵のコテツは…… 血に飢えておるっス」
「バカ言ってないで行くぞ」
自分の武器を片手に時代劇の悪役の真似をするアルネにルキノが言った。
草原を歩きながらモンスターが出るのを待った。
そして案の定モンスターが草むらから飛び出した。
緑のドロドロした体の中にギョロリとした目玉が浮かんだスライム。
人間の子供くらいの身長で緑の肌に尖った耳に鳥の嘴の様に尖った鼻、さらに下半身には動物の毛皮を纏い、手には棍棒を持った亜精霊ゴブリンなどが襲いかかって来た。
勿論こいつらは大して強くない、王道と言うかお約束と言うか、倒される為だけに造られた雑魚モンスターなのでメチャクチャ弱い。
むしろこっちは5人だから戦闘はあっさり終了してしまった。
「はぁ〜、面倒くさっスねぇ〜!」
アルネがため息を零しながら両肩を落とした。
さっき『快進撃が始まる』って言ってたのどこの誰?
「レベル上げは基本でしょう? 面倒がってたら意味が無いわよ」
「だったら強いの倒してレベル上げましょうよ〜! その方が楽っスよ〜?」
「無理だって、アタシ達まだレベル1なんだから」
「それで途中でくたばってゲーム・オーバーになる奴いるんだから」
ルキノが両手を上げた。
「ううぅ〜〜」
それを見るとアルネは頬を膨らませた。
「ま、当面は所持金とレベル上げが先決だな、最低でもレベルは6…… いや、7まで上げて戦った方が良い」
「テリオ、詳しいね」
「そう言えば弟さん達と一緒にやってるんだっけ?」
「やってるって言うか見て覚えた。アタシは家事で忙しいから…… それを言うならローネの方が凄いよ、パソコンとか機械関係強いじゃない」
「別にそんな事無いわよ、今時神社やお寺もパソコンくらい置いてるわよ…… もっとも殆ど使って無かったから埃かぶってたけどね」
「宝の持ち腐れね」
アタシは苦笑した。
それから間もなくして私達は解散時間となった。
「ええっ、まだ良いじゃないっスか〜、もう少し遊ぶっス〜」
「アンタね、約束守りなさいよ」
「御免なさい、どうしても朝のお仕事抜けられないのよ」
「アタシも、ガキ供の飯作んなきゃいけないから」
そう言うとローネとテリオはログアウト、画面から消えた。
「アタシもあがる、原稿仕上げなきゃいけないから」
ルキノも消えた。
するとアルネは私にすがりつきながら涙目で私を見上げた。
「ルゥゥ〜〜ナァァ〜っ!」
「はぁ…… 分かったわよ、ちょっとだけよ」
私はため息を零した。
作品名:ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~ 作家名:kazuyuki