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ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~

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 私達は街へ繰り出した。
 勿論言われた通り装備を整える為だった。
 この状態でも戦えない訳じゃない、でも折角だからと言う事で武具屋を探した。
 そして『マッスル・カイザー』と言う店を見つけて店内に入った。
『いらっしゃいませ、フンッ!』
『何をお求めでございましょうか、ヌンッ!』
 迎えてくれたのはそれぞれ左右別に棘付きのパットを取り付けた黒い髪と白い髪の黒光りする双子のマッチョマンだった。
 私達はしばらく呆然と立ち尽くしていた。
「良くあるよね、色とか装備と抱えてキャラクターおおく見せようって奴」
「ま、経費削減だしな、無駄遣いしたくないんでしょ? ったく、金持ちなんだからケチケチすんなっての」
「そりゃ儲けても無駄金使いたくないでしょう」
 愚痴ったルキノにテリオが言う。

 私達は自分の装備を探した。
 するとアルネが言って来た。
「あの王様ケチっスね〜 私達を歓迎するとか言っておきながら契約金これっぽっちっスよぉ?」
 アルネは自分のステータスを開いて所持金を見せた。
 現在の所持金コマンドは1000ビアス、私達も同じだった。
 さらにアルネは店の品を見ながら口を尖らせた。
「しかも大した装備無いじゃない」
「仕方ないわよ、私達はまだ冒険者になりたてなんだから」
 ローネが言う。
「でも普通のゲームでも思うよね、お城とかに行くと宝物庫に鍵かかってて最初はとれないって奴…… あれって歯がゆく無いか?」
「あるっスね〜、回りくどい事しないでさっさとそれ全部よこせって感じっス」
「アンタ等、言ってる事盗賊ね」
 アルネとルキノに『盗賊』のテリオが言った。
 でも気持ちは分からなくなかった。
 
 そんな話をしながら私達は装備を決めた。
「こんなもんかな?」
 私は自分の装備を見た。

☆私・装備:

 Weapon:ショート・ソード
 Side:皮のグローブ
 Protection:皮の胸当て
 Helmet:鉢巻
 Accessory:無し

 丁度私が装備していた皮の服の上から黒い動物の皮で作られた胸部を覆った胸当てを装着、両手首を覆う革製のナックルを嵌めた様な姿となった。
「何だかあんまり変わって無いな」
 まぁ初期装備ならこんなもんだろう。
 するとルキノがやって来た。
「お〜い、終わったか〜?」
「ルキノはそれでいいの?」
「ああ、こんなもんだろ」
 ルキノは自分の装備を見せた。

☆ルキノの装備:

 Weapon:ナックル・ダスター
 Side:レザー・リスト
 Protection:冒険者の服
 Helmet:鉢巻
 Accessory:無し

 武器と服はそのまま、こげ茶色のリストバンドだけを購入して手首に装着していた。
「武闘家はあんま金かかんないのが良いよね」
「まぁ、人それぞれだしね」
「みんな〜、お待たせ〜」
 残りの3人もやって来た。

☆アルネの装備:
 Weapon:魔法の杖
 Side:レザーリスト
 Protection:冒険者の服
 Helmet:サークレット
 Accessory:マント

「見て見て〜? アタシの装備、可愛いでしょ〜?」
 アルネは人間の親指ほどしか無い小さな宝玉が取り付けられた小さな杖を持ち、額には呪文の入ったヘアバンド、白いマントを羽織りながらクルクル回った。
 魔道士と言うより魔法少女…… 装備と言うかコスプレのようだった。
 すると後ろにいたローネが言って来た。
「どうかしら? 変じゃないかしら?」

☆ローネ装備

 Weapon:棍棒
 Side:レザー・リスト
 Protection:冒険者の服
 Helmet:サークレット
 Accessory:マント
 
 ローネの装備はアルネと大して変わっていない。
 唯一違うのは右手に持たれているのが丈夫な木を削り、柄部分に白いテーピングを施した棍棒だった。
 この2人は後方支援だから丁度良いだろう、
 すると隣のテリオがローネの肩に手を乗せた。
「大丈夫、結構にあってるよ」
 テリオは言った。

☆テリオ装備:
 Weapon:ショート・ダガー
 Side:ショート・ダガー
 Protection:皮の胸当て
 Helmet:バンダナ
 Accessory:無し

 テリオも私と大して変わって無かった。
 ただし頭に赤いバンダナを巻き、1本しか装備して無かったダガーが2本になっていた。
 装備も決まった事でいよいよ経験値上げに出かける事にした。
 
 外に行くには城の東西南北に造られた4つの城門を潜らなければならない、私達は1番近い南の城門を目指して歩いた。
「結構遊んでる人いるのね、これ全部ゲームのユーザーなのよね?」
 私は周囲を見回した。
 立派な装備を身に付けたアバター達が動いていた。
 中には立ったまま動かない(ネオチ)人もいた。
 装備からして私達とは違うのが分かる、時間をかけてプレイした人達だ。
「最初なんだから仕方ないわよ、今始まったばかりでしょう?」
「そうっス! そうっス! アタシ達の快進撃はこっから始まるっスよ!」
「始まるも何も、本当に今始まったばかりだろ…… って、うぉおおおっ?」
 するとルキノは叫んだ。
 ルキノのみた先には2人の男性アバターが肩を並べながら歩いていた。
 1人はワイルドな容貌で、赤い鎧を装着し、背中に身の丈もある巨大な剣を背負い、頭は真っ黒な髪に赤いヘッドギアを着けた戦士、もう1人は襟と裾に呪文が書かれた緑のローブを羽織った短い銀髪の魔法使いだった。
 その2人を見ながらルキノは親指と人差しを伸ばした右手を顎に当てながら口の両端を上げて目を細めた。
「ふむふむ、やっぱ王道的に戦士の方が攻め…… いやいや、ここは邪道的に魔法使いの攻めでも…… ムフフフフ?」
「ル、ルキノ?」
 怪しげな笑みを浮かべるキルケに私達は引いた。
 ルキノは俗に言うところの腐女子と言う奴だった。
 ルキノは漫画家(同人作家)でコミケでも本を出している、大半が男と男が如何わしい事をしている本ばかりだけど……
「ルキノちゃん、そりゃ誰が何を描こうと構わないんだけど…… やっぱり普通の漫画描いた方が良いんじゃない? ほら、私達まだ学生だしさ」
 ローネが言う。
「フッ、甘いな…… 今や二次創作は日本の経済を支える立派な産業…… すなわち今の日本はやおいにかかっていると言っても過言では無い!」
「いっそ滅んだ方が良いんじゃない?」
 ビシっと人差し指を突き立ててルキノにテリオが言った。
 以前ニュースで見た事があるけど、コミックマーケットは1日にかなりのお金が動いているらしく、軽く見積もっても数百億は下らないらしい。