ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~
ゲームの中の私は右手を挙げる。
すると私に連られるかのように他のキャラクター達も手を挙げた。
「「「「「あっ……」」」」」
挙手のは丁度4人、しかも私の隣でだった。
私は集会所に入りながら話しあっていた。
冒険をするにしても何にしても、まずは王様に話を聞かなければならない。
この街に訪れた者は王様に謁見するしきたりになっているらしい。
「何だぁ、みんな側にいたんじゃないっスか」
ピンクの髪の赤いリボンのツーサイド、右手に握りこぶし大の宝玉を取り付けた杖を持った魔道士アルネ(萌)が言って来た。
「ま、どんなキャラなのか言って無かったしね」
オレンジの髪に赤いバンダナを巻き、ナックル・ダスターを装備した武闘家ルキノが腕を組みながら言って来た。
「でもネットゲームなんて初めてだから緊張しちゃうわ」
白く腰まであるストレートに右目の下に泣きボクロ、右手にメイスを持ったローネ(唯月)が苦笑する。
「ま、折角だしね、アタシも家事の事は忘れて楽しむよ」
灰色の頭のてっぺんが狼の耳の様になり、腰のベルトにダガーが2本装着されたテリオ(朋香)が頭の後ろに手を回した。
そう言いながら階段を上って謁見の間にやって来た。
両開きの扉を潜ると大理石でできた天井と床とそれを支える円柱型の柱、見上げると巨大なシャンデリアがつりさげられ、足元には立派な絨毯が一直線に玉座まで続いていた。
金の背もたれに赤いソファーの立派な玉座にはまさに絵に描いたような王様が座っていた。
頭には金のフレームの赤い王冠、両肩が膨らんだ金のボタンが縦に並ぶ真っ赤なローブ、右手には先端が入道雲みたいな型になった金色のステッキを持っていた。
その両サイドには鎖帷子に鉄製のカブトを被り、槍と斧が合体したハルベルトと言う武器を片手に持った衛兵が立っていた。
私達のキャラクターは王様の数メートル前まで自動で進むと片膝を着いて跪いた。
『良く来た若者達よ、ワシがこの国の国王、クラウド・パラディス8世じゃ』
そりゃ見りゃ分かる……
他の子達もそう思ってるはずだ。
『我が国は冒険者を快く歓迎する…… この地にはまだ見ぬ土地や未発見の遺跡が多数存在し、また多くの人々がモンスターに苦しめられている、そう言った者達を救ってもらいたい』
「何か厄介事押しつけられてないか?」
「それが無きゃゲームにならないからでしょ」
ルキノにテリオが言う。
『まずは契約金としてこちらを受け取って貰いたい』
すると私達の目の前に宝箱が現れた。
「あっは! お宝っス?」
アルネが喜んで飛び跳ねた。
『それで装備を整えて冒険に貢献してもらいたい…… 諸君等の働きに大きく期待する』
私達の謁見は終わった。
作品名:ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~ 作家名:kazuyuki