小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~

INDEX|27ページ/33ページ|

次のページ前のページ
 
 

 マジであり得なかった。
 こんなのチート以外の何物でも無かった。
 今までこう言った状況は何回もあったけど、正直今回は勝てる気がしない、もう一度出直しかもしれない…… だけど!
「アンタ達…… 諦めてないでしょうね?」
 陽炎が揺らめく炎の中、私は立ち上がった。
 確かめ無くても分かるけど一応聞いてみる。
 待つ事数秒…… 待ってた答えが返って来た。
「当ったり…… 前でしょ!」
「同人作家を…… 舐めんじゃねぇ!」
「絶対…… 負けられないわ」
「当然っス! アタシ達は最強っスッ!」
 テリオ、ルキノ、ローネ、アルネは両腕に力を入れながら立ち上がった。
 皆神経が図太くて大助かりだ。
 こう見えても私達は体育会系、諦めの悪さなら自信がある。
 負けが決定した試合でも最後までやり遂げなきゃならない時だってある…… それが私達だ。
「でもどうすんだ? このままじゃいずれ負けるぜ」
「何とか攻撃1つだけでも防げないかな?」
「いっそアタシ達も合体するっス! そしてアタシが頭になるっス〜」
「バカ! お前が頭じゃ一発で負けんだろ!」
「バカって何んスか、失礼な…… 国語と理科の成績はアタシの方が高かかったっス!」
「何言ってんだ。総合じゃ私の方が上だ!」
 こう言うのを『どんぐりの背比べ』と言う。
 両方とも成績は下から数えた方が早かった。
 そんな事を考えている時だった。
「合体…… それだわ!」
 ローネは言って来た。
 私は聞いてみる。
「何が? まさか本当に合体?」
「違うわよ、さっきから気になってたんだけど……」
 ローネは私達に言って来た。
「お前、そんな事気付いたのか?」
「やっぱ天才だわ……」
「そんな事無いわよ、ただ当たってるかどうかも分からないし……」
「いいや、アタシが保証するっス! ローネちゃんは凄いっス」
 アルネの言葉に私達の心が『不安』の二文字でいっぱいになった。
 アルネの保証が1番役に立たないからだ。
 でもローネの考えが信憑性が高いのは本当だった。

 ただローネのアイデアで作戦は決まった。
 私の横にはアルネが立った。
「ルナ、よろしく頼むっス!」
「ええ、準備はОKよ」
 私は装備コマンドを開いて武器をセレクトする。
 選んだのは円柱型の鎚に長い柄が付いただけの巨大な鉄のハンマー『アイアン・ハンマー』だった。

 テラー・キマイラは地面に両腕を突き立てると地面の下に潜り込んだ。
「じゃあ行くよ!」
 私はアイアン・ハンマーを振り上げて技コマンドを入力した。
「アース・クェイクッ!」
 私はハンマーを床に叩きつけた。 
 これは周囲に地震を起こして敵全体にダメージを負わせる技だけど、こうして使えば地面の下に衝撃波を放って地中に潜ったモンスターにダメージを与えられる…… 言わば以前テリオが使った『潜航』の戦士版だった。
 私の放った衝撃波とぶつかると地面を砕いてテラー・キマイラが上半身だけ飛び出した。
『ギャアアアッ!』
 やっぱり効いてる。
 ローネの考えは当たってた。
 こいつは異なる属性のモンスターと合体したけど5つの属性攻撃が効かない訳じゃない、こいつはモンスターの技を使う際に自分の属性も変化しているのだった。
 技と属性は風→火→土→雷→水の通りに変化する、ちなみに現在はマッド・バイパーの技を使ったので土属性と言う事になる。
 つまり敵モンスターの属性変化はターン終了と同時に行われる、つまりターン内に相性の良い属性の魔法や攻撃をぶつけなければならない。
 勿論それだけじゃ無い、複数の能力を使えると言う事は弱点も同じと言う事だった。
 実際私の攻撃が効いたのが何よりの証拠だ。

 アルネは魔法コマンドを選択する。
 足元に魔法陣が浮かび上がるとダブル・スキルを発動させて魔法攻撃を2倍に高めた。
「細切れになるっス! めが・えあーどっ!」
 ルーン・スタッフの先端に集まった緑の光が巨大化するとそこから無数の風の刃が飛んで行き、テラー・キマイラの体を切り裂いた。
『ギャアアアッ!』
 テラー・キマイラは胴体のあちこちを切り裂いてその痕跡を残した。
「やったっス、やったッス〜っ! ルナ、みたっスか?」
 相変わらず両足を揃えてピョンピョン飛び跳ねる姿に私は苦笑した。
 萌とは幼稚園からの付き合いだから良く知ってる、こいつは嬉しい事があると飛び跳ねる癖があった。
 萌は昔から喜怒哀楽の感情が激しく、授業を脱線させたり、何かしらの騒ぎや問題を起こす事がしばしばあった。
 おまけに成績がすこぶる悪くて物覚えも悪い、体力はあるのだけどルールを覚えられない為に練習ではちっとも役に立たず、練習に参加させて貰ってはいるけど基本唯月と庶務に回されていた。
 それでも私も皆も萌を見捨てようとはしなかった。
 何故ならこいつには悪意と言う物がまるでなく、性格も明るくて前向きの為に自然と人が集まっていた。
 私が友達を作る時は必ずこいつが側にいた。 
 幼稚園の時も小学校の時も…… 上級生・下級生問わずにみんなに慕われ、茜もまだ小さかった頃はいつ萌が遊びに来てくれるのかと私に聞いてくるほどだった。
 中学に上がると望と知り合い、そのまま3人で風鈴高校へ入学、高校に上がって隣同士になった唯月とここまで仲良くなれたのも萌のおかげだ。
 偶然テレビでラクロスの試合を視て影響された萌が『ラクロスを始めるっス〜』と私に言った時に唯月もスカウトしたからだった。
 その後推薦で入った朋香とも知り合った。 
 言わば私達の橋渡し役と言っても過言じゃ無い、こいつがいなかったらみんなバラバラだったかもしれない。
 この中で1番明るくて愛されているのは萌だった。