ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~
戦闘は終了した。
次はいよいよボスだった。
「さてと」
私は振り向いてディスパイアの連中を見た。
『フン、中々やるな…… やはりこいつらの恐怖だけではダメか』
バウスは鼻で笑った。
今の言葉から察するに出て来たモンスターは部下達を襲ってトラウマになった物を具現化したのだろう。
実際はどんな基準で出したのかは知らないけど、恐らく開発者側がランク2のモンスターを適当に選んだって所だろうな。
『貴様達の強さに敬意を表し、面白い物を見せてやろう…… この鏡にはこう言う使い方もあるのだ』
すると鏡を私達の方に向けて来た。
鏡が強く輝くと再び闇が噴き出した。
だけど今度のは5つに分かれて大きく膨らんだ。
そしてそこに現れたのはかつて私達が倒した5体のモンスターだった。
「あいつ、マッド・バイパーっ!」
「ボンバー・ラットのお母さんっス!」
「虫野郎っ!」
「ガスト・バードまで!」
「クリスタル・ドラゴンも!」
私達はそいつらの名前(一部違うけど)を叫んだ。
確かにこいつらは以前苦戦させられた。
正直トラウマって言っても良いだろう。
「失礼な、アタシの恐怖はハラペコと赤点だけっス!」
「いや、それもどうかと思うぞ……」
ルキノは眉を細めた。人の事は言えないクセに……
赤点はともかくとして空腹は確かに辛い、それは私も認める。
恐らくこのモンスター5体はこのランク2で上位のモンスターだから選ばれたんだろう。
だけど非常に不味い…… いくら私達のレベルは前より上がってるし、モンスターの倒し方も知ってる…… でもこいつらはボス・クラスのモンスター、いくら数が互角でも力の差は歴然だった。
『生まれ変われ、魔物達よ!』
バウスは叫んだ。
途端全てのモンスターが再び闇に戻ると1つに重なり、やがて1体のモンスターに具現化した。
ボンバー・ラットの巨大な耳が付けられたクリスタル・ドラゴンの頭部。
胸と胴体と尻尾まではマッド・バイパーだけど、胸を形成しているマッド・バイパーの頭部はアーマー・インセクトの影響を受けて硬質化し、さらに口の中に赤い目玉があった。
両腕はアーマー・インセクトの両腕だけどクリスタル・ドラゴンの特徴とも言うべき大きなクリスタルが生えており。
背中に生えたガスト・バードの翼の中央には縦一列にクリスタル・ドラゴンの水晶が生えている。
逆関節の両足はボンバー・ラットMの物だけど、爪先が巨大化したガスト・バードの4本指で大地を踏みしめていた。
それぞれ変形はしてる物の、各モンスターの長所が合体した融合モンスターだった。
「合体っ?」
「まぁ、王道と言えば王道だな」
テリオは言う。
弟達が特撮好きだから一緒に見てるらしい。
大抵倒された敵は合体か巨大化のどちらかだと言う…… 中には普通に蘇るモンスターもいるにはいるけど、生前ほど活躍の見せ場は無く、最悪の場合使い捨ての鉄砲玉で終わるかパンチ一発で倒されてしまう事があると言う。
「再生モンスターの悲しい定めか……」
「ご愁傷様……」
ルキノはため息を零し、ローネは家が神社なのにもかかわらず両手を合わせ合掌した。
確かに哀れと言えば哀れだけど、それは普通に再生したモンスターの場合…… 合体モンスターは明らかに別物だ。
私も過去に特撮(ビデオだけど)ドラマを見て光の巨人兄弟が合体怪獣にやられるのを見た事がある。
『名前はテラー・キマイラとでも呼ぼうか、そいつらを倒せ!』
『グオオオォォオオオォ―――っ!』
テラー・キマイラは大きく咆えた。
作品名:ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~ 作家名:kazuyuki