ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~
そんな話をしながら最深部へやって来た。
多分何かを祭る神殿として造られた物だろう。
広いフロア、壁には殆どボロボロに崩れているが仏や菩薩のような像があった。
そして1番奥にある祭壇には2人の男がいた。
そのうち2人はとり巻きだろうけど他の雑魚達とグラフィックは同じ、だけど真ん中にいるのは明らかに違った。
この中で1番背の高く、白い襟付きマントを羽織った額に赤い水晶の付いた翼を広げた両端が尖ったゴーグルの様になった仮面で顔を隠した白いフードで顔を隠していた。
『バ、バウス様っ!』
とり巻き達が腰の剣を引き抜いて構えた。
バウスと呼ばれた中央の男は悠然と構えながら私達に言って来た。
『意外と速かったな、王国に雇われた犬どもだな』
「犬じゃ無いっス! アタシは兎の方が好きっス!」
「そう言う問題か?」
暴れるアルネにテリオが尋ねた。
勿論これはゲームなので会話は成立しない、向こうは勝手に話を進めて来た。
『大方これを取り戻しに来たのだろうが…… 生憎だったな、すでに封印は解かれた』
そう言いながらバウスは懐から手の平サイズの黒くて丸い銅鐸の鏡を取り出した。
『可哀想だが貴様達をこのまま生かして返す訳にはいかん、鏡の力を試してくれるわ!』
バウスは鏡を天井高く掲げた。
すると鏡から黒い煙の様な物が噴き出すと私達の目の前で具現化した。
それは盾と剣を持った骸骨男スケルトン・マン、黒い毛皮の狼獣人ウェアウルフ、大きな1つ目に緑色のブヨブヨした丸い胴体と足代わりに無数の触手が生えた悪魔の目玉イヴィル・アイとなった。
この3体のモンスターと私達は戦闘になった。
これらはエンカウントで出て来る普通の雑魚モンスターなので簡単に倒す事が出来た。
『ギギギィ―――っ!』
私と戦っているのはスケルトン・マンだった。
右手に持った剣を振り上げると私に攻撃をして来た。
正直モンスターがレイスじゃなくて良かったと思ってる。
レイスは浮遊霊のモンスターで、同じアンデット系のモンスターだけど物理攻撃が一切通用しない。
よって魔法か魔法の効果を持つ武器で倒すしかない、それを見つけるまでは逃げるの連続だったので、ジョブが戦士や武闘家等のプレイヤーにとってちょっとしたトラウマだろう。
敵の両刃剣を鋼鉄の盾で防いだ私は技コマンドを入力する。
鋼鉄の盾で相手の武器を振り払うと右手に持ったバスター・ソードで渾身の一撃をお見舞いした。
「気合い斬りっ!」
『ギャアアアッ!』
スケルトン・マンは粉々に砕け散って石畳に崩れ落ちた。
『ウオォオオオッ!』
ウェアウルフは雄叫びを上げながら両腕を振るって鋭い爪でルキノとテリオを攻撃した。
でも前衛攻撃と攻撃兼援助の2人はモンスターの猛攻を紙一重で回避した。
以前こいつと戦った時は…… そりゃ大した強さじゃ無かったけど、私達のレベルが低かった事もあって結構苦戦した。
だけど今のルキノはテリオにとってはなんて事も無かった。
「テリオ!」
「ОK!」
テリオは技コマンドを選択する。
「足払いっ!」
テリオはその場にしゃがむと右足でウェアウルフの逆関節の足を払った。
『ギャアアッ!』
ウェアウルフはその場に転がって動きが止まった。
これはその名の通り歩行モンスターの足を払って転ばせて身動きを取れなくする技だった。
そして止めはルキノだった。
技コマンド『チャージ』を入力して力を溜めて力を溜めると右拳を引いた。
「正拳突きっ!」
立ち上がろうとしたウェアウルフに向かって走り出すとモンスターの腹に渾身のストレート・パンチが決まった。
『グゲェアアアっ!』
ウェアウルフは体をくの字に描きながら床に倒れた。
『ギィィ―――っ!』
イヴィル・アイは大きく目を見開くと光線を放った。
「わっ!」
「きゃあっ!」
これはモンスターの能力で『幻惑の光』だった。
この光を見た物はモンスターの幻が見えて攻撃がミスしてしまうと言う物だった。
アルネとローネの周囲に夥しい数のイヴィル・アイが出現した。
ちなみに魔法は人間だけの専売特許じゃ無くてモンスターも使う物が存在する、このイヴィル・アイもその内の1体で、光系の攻撃魔法『レイ』を使って来る。
複数のイヴィル・アイは大きく目を見開くと大きな目玉に光が集まり無数の光弾をアルネとローネに放った。
普通ならここでピンチになるのだけど、生憎この2人はこの戦闘を経験済みだった。
魔法支援2人組が背中を合わせるとローネが両手を広げて叫んだ。
「プロテクスっ!」
2人をドーム状の光が包み込んだ。
ローネは以前『ディフェンス』と言う対象者の防御力を上げる魔法を使ったけど、今回使った『プロテクス』と言うのは魔法攻撃のダメージを下げる能力を持っている。
イヴィル・アイの魔法攻撃はローネによって防がれた。
そして攻撃の方は勿論アルネだった。
ルーン・スタッフを大きく掲げて魔法を唱えた。
「目玉焼きになるっス! めが・らいざーっ!」
杖から放たれた稲光を放つ金色の球体が浮かび上がると無数の稲妻となって全てのイヴィル・アイを攻撃した。
幻の方は攻撃を喰らえば消滅するけど、これだけ手数を多くすれば必ず当たる、下手な鉄砲数うちゃ当たるって奴だ。
『ギャアアアッ!』
雷撃を浴びたイヴィル・アイは黒焦げになってその場に崩れた。
追伸、電子レンジで目玉焼きを作ろうとすると爆発するので絶対止めましょう(これ本当)
作品名:ねとげ~たいむ外伝 ~in,lunry,story~ 作家名:kazuyuki