インタルジア -受胎告知―
pie.8 5.懐疑
互いにまだ幼かった。彼女は意味も分からずにスカートを捲り下着を下ろした。彼はそこに現れた滑らかな起伏に指を這わせ、微かに押し返す白い二双のふくらみをなぞった。
彼女も彼のズボンを下ろそうとした。しかし彼は彼女の股間から指を外そうとしなかった。身体の底の綻びには懐かしさを感じさせるものは何も無かったが、吸い込まれるような感覚に彼は中毒していた。
ベルトに手間取った彼女は涙を浮かべながら唇を噛みしめた。緩慢な彼女の拒否に「官能」という名がついていることを彼はまだ知らなかった。
突然、自分の股間が引きつるように痛み始めた。彼は怒りに似た衝動にかられ、仄かに湿った彼女の亀裂を人指し指で突き上げた。彼女の身体が、心棒が通ったように一直線になり、彼の痛みの中心が強く圧迫された。むず痒いような感覚に戸惑いながら、二人は互いの手を緩めることが出来なかった。
その、目の大きなおかっぱの少女と会うことはその日以来禁じられたので、今でも彼の脳裏に浮かぶ彼女の面影は幼女のままだ。彼女の記憶は圧倒的に彼を抒情した。時間を経て名前すら失っていたが、その時満たされた筈の欲望は渇きとなって、現在もそれは継続している。
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※岸田氏は眠った。しかし手だけは虚空をさ迷い、執拗に中空をまさぐっている。これは、彼の記憶か。それとも岸田氏の妄想なのだろうか?
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作品名:インタルジア -受胎告知― 作家名:みやこたまち