インタルジア -受胎告知―
pie.5 2.天才の定義と理由
世間に認められるのは「行為する天才」である。しかし「行為しない天才」もまた存在する。
肉体言語社会秩序等に掬われるのは前者である。後者は、あらゆる意味でこの現実との接点を持たない。
「行為する天才」はフリークスだ。そして、「行為しない天才」はその存在すら認知されず、ただ無気味で無意味な存在として、禁治産者、狂人というラベルを貼られるのだ。
その煩わしさを厭うあまり、彼は一歩も家を離れず、人付き合いもしないらしい。
※岸田氏になぜ彼に魅かれたのかと尋ねたら
「彼は天才だからね。凡人は天才を賞賛するか嫉妬するかのどちらかの態度しか取ることが出来ないだろう。私は彼を賞賛したんだ。そして自分に備わっているかもしれない天才性とでもいうような物を、きっぱりと諦める事が出来た。その時から、私にも生きているという実感が生まれたんだよ」
と言って、この話をしてくれた。岸田氏が彼の天才に遭遇した、その最初の時の事を知りたいと思う。
作品名:インタルジア -受胎告知― 作家名:みやこたまち