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カフェ・テクタ2 連続嗜虐

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 ドアの向こうでは、いつもエッグベネディクトを食べる常連が待っている。待ち遠しそうに首を伸ばし、ガラスをノックした。
 エマは客に気づき、女神にさながらの笑みを向けた。ドアを開けて迎え入れる。客が店に入ると、
「とろとろのチーズと、卵のホーランデーソースをたっぷりかけたモーニング」
 と笑うとすっかり従業員のように頷き、席に案内した。
 それから、ずらっと並ぶ世界のビール瓶をながめ、ウエイトレスの面接の結果を聞かずにパーキングまで出、デビルス色のキャデラックのエンジンをかけた。実のところ、面接などどうでもよいに違いなかった。目的は、たぶん、カフェ・テクタの売り込みだろう。黒のショートボブを風になびかせ、散り始めた桜を舞い上げていく。遠ざかる姿を見ているうちに、世界を二つに分けたのは人間の細々としたクソな仕業にすぎないと知った。正と邪、真と偽、天使と悪魔。それらは、誰も見たことがないもの。どこにも存在しないもの。何も救わないもの。俺たちはそんなものに、物乞いのようにすがりついている。