からっ風と、繭の郷の子守唄 第101話~105話
からっ風と、繭の郷の子守唄(105)
「関東平野を眼下に望む高台で、心がメロメロになる千尋」
日の落ちた露天風呂の眼下に、壮大なロケーションがひろがる。
戦国時代に築かれた箱田の城跡の建てられた温泉施設からは、眼下を流れる
利根川をはじめ、渋川の市街地と県都の前橋市、さらには高崎市の夜景まで
一望のもとに眺めることが出来る。
晴れた日中なら、埼玉県の秩父連山まで遠くに望むことが出来る。
弱アルカリ性の塩化物温泉は、ものの数分で、身体を芯から温めてくれる。
岩造りの露天風呂に腰を下ろした康平が、北の夜空を見上げる。
広大な面積を誇る関東平野の平坦部も、ここで終わりになる。
北へ進むにつれて、信州から越後へ連なる2000m級の山々が迫って来る。
西から延びてきた山塊はさらに東へ伸びて、栃木から福島の峰々へ続いて行く。
この地から北日本の背骨と呼べる、雄大な山脈地帯がはじまっていく。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第101話~105話 作家名:落合順平