からっ風と、繭の郷の子守唄 第101話~105話
からっ風と、繭の郷の子守唄(104)
「前橋の市街地を見下ろす、高台にある日帰り温泉施設」
「夏から秋にかけて、たくはん康平はんのスクーターに乗せてもらいました。
さすがにこの季節になると、スクーターの2人乗りに無理があります。
前々から考えとったさかい、ついに手に入れたんどす。
群馬は車が無いと、ほんまに不便どすなぁ。
これで電車やバスの時間を気にせんと、いつでもどこでも
自由に、出かけられるようになりました」
野良着から着替えたばかりの康平が、助手席へ乗り込む。
千尋の赤い軽自動車が赤城の山麓に沿って、西へ向かって走りはじめる。
ぎこちない運転は、ペーパードライバーの期間が長かったためと思われる。
しかし。走るに連れて少しずつ、落ち着を取り戻していく。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第101話~105話 作家名:落合順平