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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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通り過ぎた人々 探偵奇談5

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何があったか聴ければいいのだけれど、それも憚られる気がするのだ。思えばあの二人には、最初から何か独特の空気が漂っていたように思う。

(…知り合い?ってあたし聞いた覚えあるな。須丸くんが転校してすぐのことだったっけ)

一見仲の良い先輩と後輩なのだが、ある程度の緊張感を持ってお互い接しているように思えた。そして、先だっての事件のあとから、妙にぎくしゃくしているというか、うまく振る舞えていないというか。部員の中には、トップ二人があれで大丈夫かと部の行く末を心配するものもいる。

なんとかしなくちゃ。自分に何かできればいいのだけれど…。

「そういやとーるくんが面白い話してたな」
「え?なに?」

美波が思いついたように言った。とーるくんは、美波の彼氏だ。

「あのひと文化研究の一環で、土地の歴史とかも調べてるんだけど、うちの学校にも古くから伝わる七不思議みたいのがあるんだって」

七不思議というと、トイレの花子さんとか、増える怪談とか、動く骨格標本とか?
そういうのが苦手な郁はしぶい表情をしてみせたが、美波は怖くないんだよと笑った。

「七不思議っていうより、言い伝え?」
「そんなのあるの?なんかこのへんは古い土地で、不思議な事が起きるって伊吹先輩も言ってたなあ」

先だっては中庭で、それにまつわる騒動があったばかりだ。

「そうそう。ええと、確かね…沓薙山(くつなぎやま)の四柱(よはしら)様っていうの」
「クツナギヤマ?あの裏山、そんな名前なんだ」
「そこにいる、四人の神様の話だって。えっと」

美波は指を折りながら、山にまつわる神様の話を始める。