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カクテルの紡ぐ恋歌(うた)Ⅲ

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 美紗は、はっと目の前に座る人間を凝視した。先ほどまで冷や汗でもかいていそうな顔で話を聞いていたはずのバーテンダーは、眼光鋭く美紗を睨んでいた。
「今のあなたにとっては、もうどうでもいいこと、ですか? でも、さっきの話が表に出たら、二年半前のこととはいえ、日垣さんにも迷惑がかかりそうですね。もし、僕が公安かマスコミ関係者と知り合いだったら、どうなると思います?」
 バーテンダーは、薄ら笑いを浮かべて立ち上がった。
「さ、篠野さん?」
「どうしました? 新しいお飲み物をお持ちしようと思っただけですよ」
 アンティークな照明の暗い光の下で、征は、意地悪そうな顔で美紗を見下ろした。黒いエプロンのポケットからわずかに見える薄い長方形のものに、手を当てているのが見えた。
「篠野さん! 待って!」
 美紗は慌てて席を立とうとした。しかし、征の方が一歩早くテーブルに手をつき、美紗に覆いかぶさるように顔を寄せて、その動きを封じた。
「ここでお待ちください。すぐにお持ちしますから」





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(「カクテルの紡ぐ恋歌 Ⅳ」に続きます。表紙に「Ⅳ」のリンク先がございます。どうぞ宜しくお願いいたします。本シリーズは、現在Ⅺまで続いております。「カクテルの紡ぐ恋歌」のタグ検索で、シリーズすべてが表示されます)