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ボンゴ

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「厄介なデカさだろ。こっちの代表は本当に厄介だ。契約書だっていい加減だし、土方の奴らは皆んな素性が怪しいし、昔から社員が何人か失踪している」
「タカムロの社員が、鏡町の材木置き場で死んでいた」
「知ってる。あのボンゴだろ」
「腐った白の」
「ああ、あれでよくうちに来た」
 平島は黒っぽくなった喉を膨らました。砂埃が舞い上がった。
「死んでいたのは口橋ってやつだろ。一度、すげえ美人を連れて集金に来たよ。奥さんじゃない女だった。本当に妙な感じだったから覚えている。一見、男女の仲みたいなんだけど、まるっきりそうともいえない。女は顔色が真っ白になって、男もしどろもどろでさ。おたがい敬語で話していた。女は男の顔を見ない。男は食いつくように女の腕やら腰やらを触っている。できているようなのに、よそよそしいんだ。あんなに妙な男女の雰囲気は初めて見たよ」
 肋の内側がゾッとした。平島の首から汗が流れていた。黒っぽく、樹液に似ていた。分厚い防寒コートの下に流れた汗が吸い込まれていく。
「口橋が相当、もっていかれてた。その女が会社の代表から指示を聞くために電話で話をするだけで、怒り狂うんだ。他の男とビジネスで話したってだけなのに」
 トラックが資材置き場に入り込み、風塵避けのスプリンクラーが作動した。水飛沫がうねりをあげて高まった。氷ほどの冷たさにすがりたくなるくらい、暑かった。
「目を真っ赤に見開かせて、低い声を震わせて、肌はギラギラしていた。飯も食わないし、痩せた野良犬みたいになっていた」
「愛人か?」

作品名:ボンゴ 作家名:28ドル