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ボンゴ

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2章


 聖書にはいろんな数字が記されていて、それが何かの意味を持っていると聞いたことがある。資材置き場屋は俺の古い友だちがやっていて、その住所の末尾は69。数のことばかりを考えていると、その数ばかり見るようになる。車のナンバー、時計、電話番号。あの麻雪の家にあった会社からの指示書は69番。内容は繋留柱の材料の売り買いを失敗した口橋に対しての報復を示すもの。
 口橋を殺した奴はまだ捕まらない。それどころか死因は病死になっていた。聖書には、神からの徹底的な報復について書かれていると聞いたことがある。だが俺は神が罪人に罰を与えるのをこの目で見たことがない。ただのいちども無い。ではなぜ罰という言葉が生まれたのか?
 県道沿いの資材置き場の小屋には、古い友人の平島が煙草をのみながら、茶色い廃棄処理用の伝票を数えていた。近くでは道路工事をしており、カッターでアスファルトを切り刻んでいた。掘削した穴にはマルボロの吸殻が山ほど落ちていて、卑猥で美しい女の裸が載った雑誌がくしゃくしゃになっていた。作業員どもは煙を吐きながら珈琲を飲み、泥水を踏んでは笑う。俺の知っている神はああいう奴らで、宗教とか聖書と真逆の軸にいる。

作品名:ボンゴ 作家名:28ドル