イメージ 〈詩集〉
合歓
漠然とした思いがある
はるか昔に見た風景として
隣にいたのは誰だったのだろう
合歓の木という名前を
夢心地のように聴いていた
教えてくれたのは誰だったのか
その名前も姿さえも
思い起こさぬ時期があった
それは幸せだったからだろうか
合歓の木を見に行った
高い位置にある花を見付けた
じれったく思いながらも見続けた
公園の中を歩いていたら
合歓の木の花が沢山咲いていた
手の届く所やすぐ目の前にもあった
幸せというものは意外に
身近にあるものなのかもしれない
そんな風に思いながら合歓の木を見た