からっ風と、繭の郷の子守唄 第86話~90話
からっ風と、繭の郷の子守唄(90)
「失敗しても当たり前。真冬を目にして3000本の苗作りがはじまる」
翌日。五六が高所作業車を誘導して一ノ瀬の大木のもとへ現れた。
高所作業車は新人消防団員の実家が所有しているものだ。
電気工事用として使われている。
驚いたことに運転席には、電気工事店の関係者が同乗している。
この人も消防団のOBだ。それならばと、自ら操作をかってでたという。
「五六。つながりを生かしたとはいえ、職権を乱用しすぎだろう。
たかが桑の苗作りに、これほど大掛かりになるとは思わなかった。
大丈夫かよ。こんな車まで借り出してきて」
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第86話~90話 作家名:落合順平