小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

毎週月曜日のシカさん。~その二~(完)

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

そう言うと何処からともなく声が聞こえる。
『お母さん、何かね、“子どもが生まれました。”ってお母さんに見せに来てるみたい。』
と私は伝える。
『えっ?!お母さんにシカが子どもを!!』
とどう捉えていいのか分からない感じだった。
という事があったり、また別の日は、
『なんだろうか…、お母さん不思議なんだけど、群れから離れてシカがいるんだけど、どうもそのシカ目が離れてる。ちょっとシカらしくない…。どうしてこんなにも目が離れてる…?!変な顔…。』
と見えた状況を言う。
お母さんは首を傾げてるんだろうか、
『んっ?!目が離れたシカ?!そんなシカ見たことないよ。まあ、いいわ。兎に角そんなシカが待ってるのね!!分かった。』
と言って電話を切る。
そして八時過ぎに電話が掛かり、
『いたいたいた。目が離れてた!!ちょっとおかしな顔…。しかも本当に群れからも離れてた。…あれっ?!目が離れてるから仲間外れなのかなぁ~。でも、目が離れてた…。変わったシカだった~。まさか、本当に目が離れてるなんてね~。』
と驚いていたけど、私は実物を全く見れてないので、喜びはひとしお…とは言えなかった。
またある日は、
『なんか、デカいシカがいる。リーダーか、オスか…。』
と伝えて、その後やっぱりデカいシカをお母さんは目撃する。
逆に、私が見えなくて、仕事終わりの電話でどんなシカがいたかをお母さんから聞く。
『大きな角を持ったシカがいた~っ!!大きかった~。』
と。
その言葉からそのシカが見えてくる。
『お母さん、この角半端なくデカくない?!しかもお母さんの事ジーーーッと見てたね!!』
と伝える。
『そうそうそう、見えた?!本当にお母さんの事見てたのよ~。本当に大きな角だった~。』
と。
そんなやり取りへと変わって行ったある月曜日、お母さんはいつも通り生徒の家へと向かっていた。
電波が入らなくなるので、いつもの様に携帯を切る。
八時十分過ぎにお母さんから電話が掛かった。
その日はお母さんの声が慌てていた。
『生徒の家に着いたら、生徒のお母さんが出て来て、“この前、朝起きて玄関を開けたら、大きなシカがこっちを向いて玄関の前にいたんです。もう、ビックリして、こんな事今までなかったから…。”って言われて…。』
と聞いた私は、
『まさか、お母さん、“シカとお話してるからこちらに来てしまったのかも…。”とか言ったの?!』
と驚いてそう聞いた。
『まさか~っ!!そんな事恥ずかしくて言えないよ~。誰もこんな事信じてくれないよ~。お母さんは、“へ~、それは大変でしたね。”って言った。』
と他人事のように言ったらしい。
そんな事を話していたら、玄関の前に立っているシカの姿が見えて来た。
『お母さん、その時の状況が見えて来たんだけど、そのシカが生徒のお母さんに、“こちらに、お母さんが来てるはずなんですが…。”って言ってる。生徒のお母さんには聞こえてないけど、そのシカはそう尋ねてたみたい。お母さんがシカと仲良くし過ぎなんじゃないの?!今度、シカに会ったら、生徒の家には行かないようにってお願いした方がいいよ。』
と私は言った。
お母さんの声が困っているのが伝わって来た。
でも結局、次にシカたちに会った時に、
『あの~、生徒の家へ行かれたみたいですが、それはちょっと困るので、行かないようにお願いします。』
とお願いしたようだ。

そんな事が起こり始めて、お母さんが言い始めた事がある。
『動物たちはみんな神様がいる事を知ってるんじゃないかなぁ~と思うんだけど…。』
と。
『そう思うなら、動物たちに聞いてみる?!』
とどちらともなくそう思い始めた。
そしていつもの月曜日にお母さんが、
『今日シカたちがいたらちょっと聞いてみる。』
と言い、仕事の帰りの時間まで電話が掛かるのを待った。
そして八時過ぎに携帯が鳴った。
お母さんは興奮していた。
『神様を知ってるか聞いたよ~!!どうなったと思う?!』
とお母さんは聞いて来た。
私は分からなかったので、お母さんの答えを待った。
『目を見開いたの~。でもその後当たり前って顔してた。もしかしたら人間だけなんじゃないのかなぁ~、神様が見えないのは…。ってお母さんそう思った。あのシカの表情を見たらそう思ってしまうよ…。』
との事だった。
それからずっと経って上は言った。
『動物はみんな私(神様)がいる事を知っているのでしょう。私を知らないのは人間だけという事も知っているのでしょう。』
と。

またある月曜日、お母さんは生徒の家へと向かっていた。
そして帰りに電話が掛かり、
『あなたがお母さんに頭ごなしにいろいろ言うから、今日またシカたちに、“あいちゃんがね、お母さんにいろいろ言うの。どう思う?!”って聞いたら、シカが目を見開いたから、“あ~、やっぱり~。あいちゃん怖いよねぇ~。”ってお母さん心を込めて言ったの。そしたらシカがお母さんの方に一歩寄って、“そうそう。”って言いたそうな顔してたの、だからお母さん、“ねぇ~、怖いよねぇ~。お母さんも一緒~っ!!”ってついつい言った。シカが肯いてた。』
と言って来たから、
『シカは肯きません。変な事教えないで!!私が動物たちに会いにくくなる!!』
と伝えたら、
『事実を言っただけです!!嘘は付いてません!!』
と言う。
そしてお母さんは続けて、
『・・・もしかして、シカだけじゃなくて動物たちはみんなあなたの事知ってるんじゃないの?!…あっ、そうかもっ!!』
と言い出した。
私はその言葉に首を傾げ、
『それはないよ~。そんな事はないと思うよ。』
と言った。
『いいや、まだそうと決まったわけじゃない!!シカたちに聞いてから考える!!・・・よし、また今度会ったら聞いてみよ!!』
とお母さんは勝手に進み出して止められなくなった。
そしてその言葉の如く、次にの週、いつものようにシカがいたようだ。
そして電話が掛かり、
『聞いたよ~。あなたの事知ってるか聞いたよ~。“もしかして、みんなあいちゃんの事知ってるんじゃないの?!”って。そしたらみんな、“あいちゃんの事知ってるーっ!!”って目を見開いたんだから~。ほ~ら、お母さんの方が当たってた!!』
と一本取ったような勢いでそう言った。
私はその場にいなかったので、何とも言い返しようがなく…。
そしてまたその後に、
『あいちゃん怖いよねぇ~。』
と続けたらしい。
シカに愚痴?!を聞いてもらってるようにも感じた。

そしてまたある月曜日、仕事帰りの電話が私にかかる。
お母さんは興奮しながら掛けて来た。
『ちょっと、ちょっと~っ!!シカの群れがいて、踊ってたーーーっ!!これで見るの何回目だろう…、シカが踊ってたの~っ!!』
とわけの分からん事を言い出した。
『シカが踊るーーーっ?!そんな事あるーーーっ?!想像付かない。本当に踊ってたの~?!シカが踊るかなぁ~?!踊る概念があるとは思わないけど…。』
と言う私に、
『本当に踊ってたんだって!!その場で飛び跳ねてて、めちゃくちゃかわいかった~。』
と言うお母さん。
肯けない私は黙って話を聞いていた。
お母さんは続けて、
『めちゃくちゃ楽しそうに踊ってたから、お母さんも一緒に入って踊りたくなった~。』