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幸せタイムリミット

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隆志:えーっと…、いつも息子が世話になってます。
少彦:本当にな、いつもギャーギャー騒いでて迷惑だ。まあ、俺もそれなりに楽しんでるけどな。
隆志:…これ以上お世話になるのは悪いかもしれませんが一つだけお願いがあります。
少彦:どんとこい!
隆志:最近…その息子の咲間が数か月前から段々とやつれてるような気がするのです。食事も生活リズムも何も変えてなく学校でも何もない、と信じたいのですが…。何が原因なのかわかりません、医者に連れて行こうにも息子が拒み行こうにもいけません。なので私はどうなっても良いのでどうか息子をお守りください…。
少彦:数か月前から元気がない…、俺が見ている限り確かに何かの病気ではないみたいだが…。来たら診てみるか。
隆志:神頼みしかできないなんて俺は情けないな…。帰るか。
少彦:そんなことないぞ、いい父親だ。
隆志:え?(振り返る)…気のせい、か。

【時間経過】『少彦名神が待っている』
咲間:ひこなくーん!
少彦:お、さくまー!
咲間:掃除当番だったからちょっと遅れちゃった。
少彦:大丈夫だ。
咲間:ありがと、今日は何して遊ぶ?
少彦:あー、その前にな。ちょっと聞きたいことがあるんだが。
咲間:何?
少彦:最近体の調子は大丈夫か?
咲間:体?特に問題ないと思うけど…。別にしんどくもないし…。
少彦:そうか…。んじゃー、ちょっと目瞑っててくれ。
咲間:わ、わかった。(目を瞑る)
少彦:(独り言)見たところ確かに病気の気(け)はないな…。しかし(咲間をじろじろと見る)精力を吸い取られているようだ。にしても数か月前ってどのくらいなんだろうか、俺と会い始めてなら俺が…?いや、でも俺はそんな精力を吸い取るようなことはしてないし、仮にも俺は神様だし…。
咲間:ひ、ひこなくん…?
少彦:人間界には物の怪もいるからそいつらのせいかもな…。家に憑く妖怪?それとも学校に…(ぶつぶつ言い続ける)
咲間:…ひこなくん!
少彦:おわっ!なんだよ。
咲間:そろそろ遊ばないと日が暮れちゃうよ?
少彦:あ、ああそうだな。もういいぞ。
咲間:何をしてたの?
少彦:ん?いや、ちょっとな。(独り言)今度天照大神様に聞いてみるか…。
咲間:ひこなくーん?
少彦:え?あ、悪い悪い。さ、遊ぼうぜ!
咲間:そうだね、今日は何する?
少彦:そうだなー、今日はー…。


【高天原】『天照大神(あまてらすおおみかみ)が書物を読んでいる』
少彦:天照様ー!天照大神様ー!
天照:何ですか少彦名神、久しぶりに来たと思ったら大声で。
少彦:す、すいません。どうしても聞きたいことがあって。
天照:聞きたいこと?
少彦:ええ、そのー、人間は物の怪によって精力を吸い取られることがありますよね?
天照:ありますよ、まあでも今は珍しいですし半分以上の精力は吸い取らない決まりですから。決まりを破った者は存在を消されてその人間は徐々にですが回復していくようになっています。
少彦:そうだよな…。それでその決まりを破った物の怪を見つけるには、精力を吸われている人間に憑いている物の怪の気を見て見つける。
天照:そうです、さすが常世の神です。
少彦:これぐらいは覚えてますよ!
天照:それよりこのことで何か?
少彦:あ、そうだ。ある人間が俺の神社に来るんですが、その人間の精力が何かに吸われているような気がするんです。でも物の怪の気は無くて何が原因なのかが全くわからないんですよ。
天照:そうですねえ、物の怪の気がないとなると「神」のせいかもしれません。
少彦:「神」?それは我々のような神ですか?
天照:その可能性もないとは言えません。しかしその人間が神を見えるかどうかで状況は異なってきますが…。
少彦:どういうことですか?詳しく説明してください!
天照:詳しく?別にいいですけど、その人間を気にかけるんですか?もしかして…、話したとかではないでしょうね?
少彦:ち、違いますよ!そのーあのー…、そ、そう!常世の神として人間の生死について知っておくべきかなーっと!
天照:それならいいですが…、まあ確かに常世の神である貴方は知っておくべきですかね。
少彦:セーフ…。
天照:我々神にもいくつかの種類のようなものがある、これは知っていますよね?
少彦:もちろん。長年大事に使われた道具に憑く付喪神とかですよね?
天照:その通り。そして神が生きるのにはそれぞれ一つしかありません。付喪神であれば長年大切に使われたその物に対する想いとか、我々のような神であれば「空気・植物・動物・土」等の万物の精力になります。
少彦:ちょちょっちょっと待ってくれ!え?俺たちが生きる術(すべ)が万物の精力?そんなの聞いたことないですよ。
天照:まあ、このことは神界でもそんなに知られていないことですからね。私はこのように書物を調べたり色んな神様から話を聞いて知っていますが。
少彦:そうだったのか…。止めてごめんなさい、続きをお願いします。
天照:わかりました。さっき話した「神は万物の精力がなければ存在できない」、これがやっかいなのです。前に言った「人間と神が関わってはいけない」と深く関係していて、人間と神が関わり続けるとその人間はいずれ死んでしまうのです。
少彦:し、死んでしまう?
天照:ええ。神は普段、植物や空気・土から精力を得ます。人間は精力が取りやすいので取りすぎると死んでしまうのです。しかし人間が神を見ることができる、これはとても珍しいのです。そして、もしその見える人間が神と関わってしまったら神はその人間から精力を取ってしまうのです。
少彦:その、精力を取るってのは止められないんですか?
天照:こればっかりは神が存在するのに必要なことなのでどうにも…。だからもし関係を持ってしまったら記憶を消して二度と関わらないことですね。次第に見えなくなっていきますよ、少なくとも十年たったら
少彦:じゅ、十年?そんな…、咲間…。
天照:す、少彦名神?まったく、なんなんですかね…。


【人間界 少彦名神の神社】
少彦:…。
咲間:ひこなくーん!
少彦:…。
咲間:ひこなくーん?
少彦:あ…、ああ咲間…。
咲間:どうしたの?どこか具合でも悪いの?
少彦:いや、体は大丈夫だ…。
咲間:じゃあ何か心配なこと?
少彦:心配…、そうだな、そうかもな…。
咲間:なら僕が聞くよ!いつも遊んでもらってるからお礼!
少彦:ああ…、
咲間:…家族のこと?
少彦:いや…。
咲間:じゃあ学校?
少彦:いや…。
咲間:…。
『沈黙が続く』
少彦:なあ…。
咲間:ん?
少彦:もうここに来るのは、止めてくれ。
咲間:…え?
少彦:もうここに来ないでくれ。
咲間:きゅ、急にどうしたの?なんでそんなこと
少彦:お願いだ、もう来ないでくれ。
咲間:そんなの…、なんで?理由は?なんで?ねえ、なんでなの!?
少彦:うるさい!!
咲間:…!
少彦:…いつも思ってるがもう少し落ち着いて相手の話を聞け。
咲間:ご、ごめん…。
少彦:あのな、今から言う話は全て真実だ。でも信じるか信じないからはお前に任せる。信じようが信じまいが気にしない。ただ今から話すのは子供の話じゃないっていうのをわかってくれ。
咲間:うん…。
少彦:俺の話を聞いてくれるか?
作品名:幸せタイムリミット 作家名:宇宙風