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幸せタイムリミット

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咲間:子供だけでどっか行ったら怒られるに決まってるよ。それに僕の家父さんと二人だから余計な心配かけたくないし。
少彦:お父さんと二人なんだ。母親は?
咲間:僕が小さい頃にいなくなったんだって。でも僕あんま母さんの顔知らないからよくわからないんだけどね。
少彦:そうか、お父さん頑張っておま…君を育てたんだね。
咲間:うん…、まあね。あ、僕は高木咲間、君は?
少彦:俺?俺は…あー…ひこな、ひこなって呼んでくれ。
咲間:ひこなくんだね、よろしく。
少彦:よろしく、咲間。
咲間:あ、の、
少彦:何?
咲間:そのーあのー…。
少彦:?
咲間:その…一緒に遊ばない?僕引っ越してきたばっかりでまだ全然友達できなくて遊び相手がいないんだ。
少彦:え、えーっと…。
咲間:だめ、かな…?
少彦:いやーえーっと…。
咲間:お願い!遊びたいの!
少彦:あーもうわかったわかった!遊べばいいんだろう!
咲間:ありがとう!何して遊ぶ?
少彦:そうだな…、じゃあ鬼ごっこでいいんじゃないか?
咲間:二人なのに?
少彦:人数の問題じゃないだろ、ほらじゃんけんだ。
咲間:うん、
二人:じゃんけんぽんっ
少彦:じゃあ俺が鬼だな、5数えるからな。この神社の中だけな。
咲間:わかったー。
少彦:いーち、にー、さーん、よーん、ごー。よしいくぞー!
『二人鬼ごっこを始める 時は夕方になる』
二人:はあ…はあ…はあ…
咲間:ひこな君すごいね、足早すぎだよ。
少彦:咲間だって十分早いと思うぞ。まあ俺には当然かなわないけどな
咲間:絶対いつかひこな君を抜いてみせるんだから!
少彦:楽しみにしてる
二人:(笑い合う)
咲間:あ、そろそろ帰らなきゃ…。
少彦:そうか、もう遅いもんな。
咲間:お父さん早く帰ってくるといいね。じゃあまた明日!
少彦:ああ、また明日!(咲間がはけてから)…ん?また…あしたぁ!?

【次の日】『少彦は座っている』
咲間:ひこなくーん!
少彦:本当に来やがった…。
咲間:何か言った?
少彦:い、いや別に。
咲間:そっか、そうそう今日は何する?(隣に座る)
少彦:何ができる?この境内の中で。
咲間:縄跳びとか、かくれんぼとか、あやとりとか折り紙とか…
少彦:後半そんな体力使わないものになってるぞ。
咲間:どうしても神社から出ちゃダメなの?
少彦:ああ、そう言われてるからな。
咲間:そうなんだ、大変だね。
少彦:そうだな、いつもいつも退屈で大変だぜ…。
咲間:学校にいるときが自由で楽しい時間だね。学校では何してるの?
少彦:学校?がっこーうーではー…昔でいう寺子屋だから…、あー勉強だ勉強。
咲間:そうじゃなくて遊びだよ、何が好きなの?
少彦:遊び?そうだな…走るのが好きだな。
咲間:あ、やっぱり?ひこな君走るの得意だし、かけっこが好きだろうなって思ったよ。どうやったらそんなに早く走れるの?
少彦:どうやったらか…、わからないな。いつの間にかこうだったし。
咲間:そうなんだ、じゃあ生まれつきってやつだね。
少彦:まあそうだな。
咲間:じゃあ勉強では何の教科が得意?
少彦:あー…、薬学かな。
咲間:や、やくがく?薬学って薬の?
少彦:ああ、一様専門だからな。
咲間:小学校に薬学なんてあったっけ…。
少彦:あー、あのー、専門なんだよ。薬学専門の学校。
咲間:そんなのあるの!?
少彦:ある。(独り言)ねえよ。
咲間:あるんだ、じゃあ病気になったときにはひこな君に聞こうっと
少彦:ああ、任せとけ。…っていうかさっきから俺ばっか答えてるじゃねえか。
咲間:あ、ごめんごめん。ひこな君のこともっと知りたいって思ってさ。
少彦:俺のこと?
咲間:うん、だってまだ知り合ったばっかだしいっぱい話して仲良くなりたいの。
少彦:そ、そうか…。
咲間:で、何か質問ある?
少彦:質問…そうだな…、今は特に何もないかな。
咲間:じゃあなんで言ったの…。
少彦:なんとなくだ、質問攻めはあんまり好きじゃなくってな。
咲間:そっか、ごめんね。何か質問あったら何でも聞いてね!
少彦:お、おう…。
咲間:で
少彦:ん?
咲間:何して遊ぶ?
少彦:え、ああ、うーん…。
咲間:♪(期待の眼差し)
少彦:…よし決めた!
咲間:おお!何するの?
少彦:寝る!
咲間:え、
少彦:体動かすだけじゃなくて、日向ぼっこでもしようぜ。
咲間:それって遊びっていうのかな…。
少彦:遊びじゃなくても楽しいぞ、周りの音を静かに聞いてみるっていうのもさ。
咲間:周りの音か…。
少彦:ほら、聞いてみな。木の音、葉の擦れる音、風の音、機械の音、これら全ては人類が作ったんだ。歴史の中には血に塗れるような戦いや国が栄えなくて常に死の間際であったこともあるだろうが、それでも人類は支えて生きたんだ。その努力の賜物(たまもの)がこの素晴らしい世界なんだよ。すごいと思わないか…、っていつの間にか寝てるじゃねえか…。
咲間:…。(寝ている)
少彦:まったく…、寝顔だけは可愛い顔しやがるんだから…。…新しい友達、か。人間の友達…、悪くないかも、な。

【時間経過 夕方の神社】『咲間寝ている』
少彦:こいつどんだけ寝るんだ…、もう二時間は立ってるぞ。おーい、咲間ーもう五時過ぎるぞー。
咲間:もうちょっとー…、
少彦:もうちょっとって、これ以上ここで寝たら風邪ひくぞ。起きろって。
咲間:もうちょっと…。
少彦:低血圧か!まったく、親父さんが心配するだろ!起きろー!
咲間:うーん…。
少彦:ったく、どうしたら…ん?
隆志:咲間ー、咲間ー!
少彦:咲間…、ってことはあれはこいつの親父か。親父が来たなら大丈夫だな。
隆志:咲間!まったく探したぞ、おい咲間。
咲間:おとーさん…?
隆志:まったく、どこで寝てるんだ。風邪引いちゃうだろ?ほら帰るぞー。
咲間:あれ、ひこな君…。お父さんひこな君は?
隆志:ひこな君って誰だ?
咲間:男の子、僕とそんなに年は離れてないと思うんだけど。
隆志:いや、見てないな。もう帰ったんじゃないか、遅いから。
咲間:でもこの神社の子だって言ってたよ?
隆志:この神社の子だとしても遅いから中に入るように言われたんだろ、大丈夫だ。
咲間:ならいいけどなぁ…。
隆志:ほら、帰るぞ。今日はお前の好きなオムライスだ。
咲間:本当?!やったあ!!
『話しながら帰る』
少彦:なんか羨ましいな、俺たちにとって飯は娯楽の一つだけど…手料理か…。も、もう寝るか!って誰に言ってるんだ俺。


【数か月後】
少彦:あーあ、学校早く終わらないかなー。咲間がいないと暇なんだよなー…。
隆志:ここ、か。
少彦:あ、咲間の親父さん。どうしたんだろう。
隆志:咲間はここでほとんど毎日遊んでるみたいだが…、誰と遊んでるんだろうか。この前迎えに来た時に少しだけ見たが一人だったけど、まるで誰かと話しているようだった…。
少彦:なんか咲間が頭おかしいやつになってるな。
隆志:ここに祀られてるのは…、すくな…ひこなの、かみ。ひこな?…まさかな。
少彦:そのまさかなんだけどな。
隆志:とりあえずお参りだな、咲間がいつもこの場所にお世話になってるみたいだし。
少彦:礼儀正しいな、咲間を育てただけはある。
作品名:幸せタイムリミット 作家名:宇宙風