からっ風と、繭の郷の子守唄 第76話~80話
からっ風と、繭の郷の子守唄(78)
「座ぐり糸の修行をした、碓氷製糸場を案内する千尋の本音は・・・・」
「先日のお礼に、私が修行した碓氷製糸場とアトリエを案内します。
繭から生糸を引き出す仕事ですから、面白くないかもしれません。
ども私の新しい生き方が、ここから始まりました」
『私をしっかりと見つめてください』と、遠まわしに千尋から
言われてたような気がする。
康平は黙ったまま、活き活きと輝く千尋の横顔を見つめる。
時刻は午前8時の少し前。目の前の製糸場に、稼働している雰囲気はない。
無人の場内へ足を踏み入れた千尋が、右手の高い位置を指さした。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第76話~80話 作家名:落合順平