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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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歪んだたより 探偵奇談4

INDEX|16ページ/40ページ|

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寂しさも、繰り返す



午前中は自主練習、午後からは怜奈の家に泊まりにいく準備のため、郁は怜奈を伴い自宅へ戻った。「勉強を一緒にする」と適当に話をしてもらう。もともと厳しくはない母であるし、快諾してくれた。

「はいアイスティーどうぞー」
「すみません」
「ごゆっくりね」

母がお茶をおいて去る。郁は下着やらパジャマやらをバッグに詰めながら、それを怜奈にすすめた。

「怜奈さん、飲んで飲んで。暑かったでしょ」
「ありがとう。ごめんね、一之瀬さん。巻き込んじゃって」

申し訳なさそうに言うので、郁は手をとめて怜奈の前に座る。

「こんなこと友だちには本気で相談できなくて…」
「三年生は受験ですもんね。あたしのことなら気にしなくて大丈夫ですから」

気を遣うひとなのかなあと、郁は怜奈を眺めた。見るからに儚げできれいなひとだ。こんな美人に生まれたかったなあと郁は心底思う。

瑞に託された使命は幾つかあるのだが、怜奈には明かしてはいけないと念を押された事項がいくつかあった。郁にはまったく意味がわからないのだが、瑞は何かを確信しているようだったから、言われたとおりにするしかない。

「怖い思いさせたら、ごめんね」
「あたしのことなら心配しないでください。さっき須丸くんに幾つか言われたんですけど、えっと…確か、『向こうは脅かすだけでなんにもできないから、心配しなくていい。ただし何が起きても部屋から出るな。逃げたら向こうの思うつぼ』だって」

どういう意味なんだろうね、と怜奈も首を傾げる。瑞の言うことは信じるに足りるから、だから郁も大丈夫だと若干強気でいられるのだった。