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幕間10分(悠里の章)

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 ドラムの音が止まっても、悠里はその場でフリーズしていた。
「あの――」


「もしもし」
「あ、はいっ!」
 ドラマーに肩を叩かれて悠里は我に返った。
「あ、ごめんなさい」
ずっと見られて気に障ったかと思い反射的に頭を下げた。
「あら……」
 目が合うと互いに目を逸らせた。
「キミ、どっかで見たことあるんだけど……、誰だろ?」
 フレンドリーに話しかける彼はにこやかに笑っている。年は兄と同じくらいか。何か格闘技系の運動でもしているのだろう、体格がしっかりしているが表情は柔らかい。特徴のある三角の眉毛がそう見えるのだろうか。とにかく悠里には彼が悪い人には見えず、思ったことを話しても差し支えないと思った。
「演奏の様子が私の兄に似てたので、つい……」
「お兄ちゃん?」
「はい、今はギターなんですけど、高校の頃まではドラムやってたんですよ。ココを拠点に……」
 悠里が答え終わらないうちに拳を掌でパチンと叩く音がするとビックリして話を途中で止めた。彼の頭で何かが繋がったようだ。
「あ、それってギミックのグレッグのことじゃない?」
「そう!そうです」 
「そうだったんだ、妹がいるのか。どおりでどっかで見た顔だと思ったんだ」
 腕組みをして悠里の顔を見て頷いている。外見が兄と似ていることにピンと来たようだ。自分の中でスッキリした様子が悠里には見てとれた。
「そんなに、似てますか?」
「眼鏡と髪の色が同じだね。QUASARに来たら見かけるくらいはあると思ったんだけど、妹に会えるとは何かラッキー」
 素直に喜んだ様子の顔を見て、悠里は照れ笑いをしながら眼鏡の縁を掻いた。
 悠里の実兄、Greg Kuraizumiはかつてここでギミックというバンドでドラムを叩いていた。今ではNAUGHTというバンドでギター兼ボーカルとして活動しているが、地元では若者の間でジャンルを越えて少し名の知れた存在だった。

「僕は、堤 信洋って言うんだ。NAUGHTのドラムスと同じ名字だろ?ま、関係ないか」
 信洋は笑いながら悠里を部屋に入るよう促すと、待っていてもすることがないし、この人なら問題ないだろうと判断した悠里は一人のスタジオに入った――。

作品名:幕間10分(悠里の章) 作家名:八馬八朔