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からっ風と、繭の郷の子守唄 第61話~65話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(65) 
「悠久の流れを見せる利根川と、対岸にある縁切り寺の満徳寺」

渋沢老人に別れを告げた2人が、田島邸まで戻ってきた。
停めてあったスクーターへ乗り込む。
スクーターがゆっくりと、島村の集落を走り出す。
午前11時。利根川の堰堤上に、スクーターがあらわれる。
堤防の上に、自転車専用の路面が、川に沿ってどこまでも伸びていく。

 「途中から江戸川を行けば、東京ディズニーリゾートまで約170km。
 直進していけば、銚子の河口部まで、ほぼ180km。
 東日本最長のサイクリング・ロード、それが利根川のロードです」

 康平が下流を指差す。
このあたりアで流れてくると、利根川の川幅はゆうに500メートルを越える。
さらに下流へ行くと、ひろい河川敷を活かしたゴルフ場が点在する。

 「雄大で、悠久と言える流れです。
 利根川は別名を、暴れ坂東と呼ばれているそうですねぇ。
 島村の人たちは、気性の荒いこの川と辛抱強く寄り添いながら、
 長年、養蚕に取り組んできました。
 広くて平坦で肥沃な大地と、美しい風景の中から、群馬を代表する
 蚕と繭が育まれました。
 ここから絹の文化が生まれたと思うと、全身が震えます。
 この空気。この大地。この風の匂い。悠々と流れていく川の流れ。
 すべてがわたしの五感に、心地の良い刺激を与えてくれます・・・・
 ここへ来て本当に良かった。
 私は一生、この風景と、水と風の匂いは忘れません」