ノブ・・第2部
「あ、この人に抱かれたい・・って、きっと私、初めて思ったんだと思います」
さ、立って下さい・・とさゆりさんはボクの体の石鹸を手桶で流して言った。
ボクは、言われた通りに立ちあがった。
さゆりさんが「最後に、オチンチン・・洗わせて下さい・・」と言った。
ボクはもう、この人の為すがままにしよう・・と「いいよ、洗って」と言った。
さゆりさんは手で石鹸を泡立てて、ボクのオチンチンを丁寧に洗いだした。
お尻の穴まで。
オチンチンは洗われている最中に、ビ〜ンと天井を向いた。
さゆりさんは、ビンビンのオチンチンをお湯で流して、言った。
「ノブさん・・命令して下さい」
そう来たか・・・。
「さゆり、オレのオチンチン・・何とかしろ!」
「はい、オチンチンは、さゆりが慰めます・・」
さゆりさんは、両手を添えて、口に咥えた。
そして、頭を前後に動かして、懸命に吸った。
「ん〜、上手だよ、さゆり」
「・・・」
さゆりさんは頷いただけで、一心不乱にオチンチンを愛撫した。
「さゆり、根元に右手を添えて」
「そう、軽くしごいて?!」
「・・・」さゆりさんは言われた通りに手で根元をしごいて、口で亀頭を舐めまわした。
「感じる・・」
「・・嬉しいです、ノブさん」
オチンチンから口を放したさゆりが、ボクを見上げて嬉しそうに言った。
「いっぱい、感じて下さい・・」そう言って、またフェラチオに没頭した。
ボクは、眼を閉じて集中した。でも、今夜の3発目ともなると、容易には射精しそうになかった。
「さゆり、大丈夫?」
「疲れたら・・止めていいよ?」
さゆりさんは、一旦止めて、ボクを見上げて言った。
「ノブさん、どうすれば・・感じてくれますか?」
「さゆり、どっちで欲しいんだ?」
「・・え?」
「オマンコか、口か・・どっちでイッて欲しい?はっきり言わなきゃ」
「・・どっちも」
「うん、分かった・・じゃ、布団に行こう」
「いいんですか?このままで・・」
さゆりのオマンコに入れたくなったんだ・・とボクはわざと、ぶっきらぼうに言った。
「はい、分かりました」
さゆりさんが上がり湯を掛けてくれた。
「・・こちらへ」
さゆりさんは、ボクを脱衣所に立たせて、バスタオルで全身を拭いてくれた。
「ふ〜、殿さま気分だよ、さゆり・・」ボクは嘆息して言った。
「さゆりにとっては、お殿様です、ノブさんは」
さゆりさんは頭も拭いてくれて、ドライヤーまでかけてくれた。
そして、浴衣を着せてくれて「終わりました・・」と言った。
「うん」
年上の女性に傅かれて気分の良くなったボクは、布団に大の字になって、ため息をついた。
「こんなの、初めてだよ・・」
「嬉しいです、ノブさんにとっての初めてなんて・・」
さゆりさんは嬉しそうに微笑んで、ボクの隣に正座した。
「ノブさん、私・・」
「うん、なに?」
「聞いてくれますか?」
「うん・・」
さゆりさんは、ゆっくりと話し出した。
「私・・恵ちゃんの分まで、ノブさんに尽くしたいんです・・」
「あ、怒らないで下さいね?」
「・・恵ちゃんに死なれて、ノブさんは凄く寂しかった・・」
「新しい恋人が出来ても、どこかで恵ちゃんを引きずってます・・よね?」
「・・うん、そうかもしれないね、けど」
「ううん、いいんです・・私」
「ノブさんを好きになった恵ちゃんの気持ち、何だか、とってもよく分かるんです」
「恵ちゃんが生きてたらきっと、こんな形じゃないかもしれないけど、ノブさんに尽くしてたと思うんです」
「あの子は、私なんかよりも、優しかったから・・」
「・・・」ボクは、何も言えなかった。
「だから、恵ちゃんも心残りなんじゃないかな・・って」
「その分、私がノブさんに尽くしても、きっと、恵ちゃんは怒らないと思います」
だから、恵子の分まで、私が尽くすのだ・・とさゆりさんは言った。
「でも・・ノブさんとは今日が初対面なのに、こんなに惹かれるなんて・・・私、正直に言うと御給仕してる時、ドキドキしてたんです」
「ノブさんが、美味しいおいしい・・ってパクパクご飯食べてるのを見てたら・・何だか、胸が騒ぎ出して・・」
「きっと、恵ちゃんの事を抜きにしても、私・・・ノブさんを好きになってたと思います」
「・・さゆり」
「だから、2人分・・尽くします」
「いいって言って下さいね?ノブさん・・」
「オレ・・・」
いいんです、私が好きなんだから・・同じ様に好きになって?なんて、言いません・・とさゆりは微笑んだ。
「だから、こうして一緒にいられる時だけでいいです、さゆりのお殿様でいて下さいね?」
さゆりさんは、そう言って、灰皿と煙草を持ってきた。
「一服、しますか?」
「うん、有難う」
ボクは何て答えていいのか分からずに、煙草を吸った。
「ふ〜」
「とうとう・・殿さまになっちゃったな・・」
「嫌・・ですか?」
「いやじゃないけど、経験無いからさ」
ノブさんは、思った事、して欲しい事があったら、さゆりに命令して下さい、さゆりが全部してあげますから・・とさゆりさんが笑いながら言った。
「ノブさん・・」
「なに?」
「・・・命令して下さい・・」
「うん・・・さゆり?」
「はい、ノブさん」
「オレ、ちょっと休んでもいい?メマイがする」
本当だった。
「お酒飲んで風呂に入って、上せたのかな・・・」ボクは布団に横になった。
子守唄
布団に横たわって目を閉じると、フワフワして目の中がチカチカした。
「・・具合、悪いんですか?」
「ううん、少し疲れただけだよ、大丈夫・・」
さゆりさんの声が、少し遠くに聞こえた。
ボクは目を閉じて、深呼吸した。
「私・・ここにいます」
「有難う、でも大丈夫だから」
「あ、明日の朝、起こしてくれる?」
はい、では朝食前に伺います・・と言い残して、さゆりさんは部屋を出ていった。
ボクはスタンドを消して、暗闇で目を開けた。
「お殿様か・・」
さゆりさんとのセックスは確かに刺激的だった。
しかし本心なんだろうか、恵子と2人分尽くしたいなんて・・ボクは正直、さゆりさんという人が分からなかった。
自分の事も分からなくなっていた。
恵子の事は、きっと今でも好きだ。でも想いはもう、届かない。
恭子の事も忘れてはいない、なのに・・・。
次第に心臓がドキドキと脈打ちだして、ボクは見上げた天井が大きく歪んで自分に覆いかぶさってくる気がして・・・冷や汗が出た。
「酔って、セックスして、風呂入ったからかな」
目を閉じて深呼吸して「落ち着け、おちつけ・・」とボクは自分に暗示をかけようとした。
しかし、眼を閉じても暗い天井がボクを包もうと下がってきている気がして、ボクは布団の上に跳ね起きて、部屋を見渡した。
「・・・」
そこは月明かりの六畳間で、さっきと何一つ変わらない部屋だった。
時計の音が、やけに大きく耳についた。
「どうしちゃったんだろ、オレ・・」
「ノブさん?」
さゆりさんの声が、襖の向こうから聞こえた。
「・・なに?」
「眠れないんですか?」
「うん、何か・・・変な気分なんだ」