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からっ風と、繭の郷の子守唄 第51話~55話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(55)
「呑竜マーケットを立ち去っていく美女を、不吉な思いで見送る貞園」

 「せっかく伊勢崎方面へ行きますので、他になにか叶えてほしい
 希望がありますか?」

 スクーターの2人乗りが実現したことで、千尋は上機嫌になっている。
しかし。『ほかに何か希望がありますか』と康平から尋ねられた瞬間、実は、
もうひとつ有りますと、千尋が舌を出しておどける。

 「厚かましい女でごめんなさい。実は、もうひとつ望みがあります。
 どう説明すればいいのかしら、名前がわからないの。
 お饅頭みたいなものを炭で焼いて、香ばしいお味噌をつけて食べる、あれ。
 伊勢崎市の名物で、縁日の屋台でかならず見かける、あれ・・・・
 なんていう食べ物なのかしら」

 「それはたぶん、焼きまんじゅうのことです
 甘辛の味噌をつけて焼きあげる、伊勢崎市の名物です」

 「そう。それ!その焼きまんじゅうです!」