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Re:future

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世間に公開されている情報はこの機関の名称だけである。

本部の場所、所属している人などの情報は一つも公開されていない。

「S F O」の設置により、世界中で未来を知る技術の使用を禁止にした。

使用した場合は、未来予知の技術に関係する記憶を全て消すなどの徹底ぶりだった。

それにより混乱は収まっていった。

が、しかし


この世から悪が消えないように、裏で未来予知をし、事件を起こす違憲者は消えなかった。

再び世は荒れ始めた。

・・・そんな中、そんな中ですよ。

カナエは思った。

就職先が見つからないという悩みを持つ学生もいるんですよ!

俺的にはこれからの未来より就職先の方が気になるっつーの!!

「・・・これからの未来はどうなってるんだろうな」

無事就職先が見つかって、
安定した給料をもらい、
素敵な女性と結婚して、
幸せな未来を築けてたりするのかな。



カナエは、「ありもしない」未来に、思いをはせていた。

「わ!わ!だ、誰か助けてくださ~い!!!」

不意に、女性の叫び声が聞こえる。

声に驚きカナエが顔を上げると、1人の女性が清掃ロボに追いかけ回されていた。

タイヤで動くタイプのロボ。逃げる人間よりも足が速いのは明確だった。

徐々に距離を詰められる女性。

茶髪の髪の毛を上の方で結び、ポニーテールにしている。顔立ちは整っていて、可愛いの部類に入るかもしれない。

ここら辺では見ない顔だな。外国の人?

「あ!そ、そこの男の人!助けてください!へんなロボットに追いかけ回されてるんです!」

まだ西暦だった頃に流行っていた某SF映画に出てくるロボット(名前はなんと言ったかな。RなんとかD2だった)に似ている清掃ロボットを指差しながら、女性はカナエに助けを求めてきた。

「ちょっと俺の後ろにいといてください」

そう女性に言いカナエが向き直ると、もう5メートルもない距離にロボットが迫っていた。

カナエは、ロボットに向け「手で何かを投げるような」仕草をした。

その瞬間、ロボットは急に動きを止め、その場に静止した。

「・・・今、なにを?」

女性が不思議そうに聞いてくる。

「すいません。ここら辺オンボロなロボットばっかなんで、たまにプログラムがバグって人をゴミと認識したりするんですよ」

静止した、ドラム缶のような体をしたロボットを指で叩きながら言う。

「私ゴミって認識されてたんですか!?」

「あはは!まあ、そんな感じですね。でももう大丈夫ですよ。もう『直した』んで」

さて、俺はまた新しい就職先を探しますかね。

カナエはそう思い、その場を立ち去ろうとした。

「じゃ、俺は用事あるんで」

すると女性はカナエの腕をガッとつかみ、

「あのっ!お礼させてください!」

と言ってきた。

なんだこの女は。俺用事あるって言ったのに。

いや、ないんだけどさ。

「おいクラン!!勝手に変な場所行くな!」

カナエが対応に困っていると、後ろから声がした。

男が公園の入り口に立っていた。

クラン?この女性の名前か?

いやそれより、この男は誰だ?長身で、すこしクセの入った赤毛をオールバックにし、目つきは悪い。

この男性といい女性といい、最近外人一家でも引っ越してきたのか?


「それに一般人とむやみに絡むなと・・・・」

そうクランという女性に言いかけた男は、カナエを見た瞬間動きが止まった。

なぜ?という顔をしている。

俺なんかしたかな・・・

昼下がりの公園で、目の前には停止した清掃ロボがたたずんでおり、片腕をクランと呼ばれた女性に掴まれ、謎の男には変な顔をされている。

なんだこの状況は。

と、カナエは困惑していた。

「こちらコードK・K。HOPERを発見。やむを得ず接触したため、確保などは、こちらの判断で行動します」

男は隠されているマイク?か何かにむかってそう言った。

そして、こちらに足早に向かってきた。

コードけーけー?ほーぱー?

カナエにはなにを言っているかわからなかったが



やばい



そう、本能で感じた。



本当はあまり人に知られたくないけど仕方がない・・・!

コイツらが「アレ」をつけてるとは限らないが、どっかの組織の人っぽいし、可能性はある!

そう思ったカナエはすぐに行動にうつった。

男はすぐそこまで迫っていた。

何かされないよう体制を低くしながら、2人の体の一部に触れる。


その瞬間




2人の目の前から、カナエが消えた




「「!!??」」

2人が驚いた顔をする。

当たり前だ。カナエは今2人の視界にうつっていない。

彼らのコンタクト。あー、分かりやすく言うと、スマホの画面が視界に映る?みたいな。

超薄型のパソコン画面的なやつ。

を、「ハッキング」した。

今彼らの視界には、ごく平凡な公園の景色がうつっているだろう。

カナエがいないという異常を抜いて。

さて。これからどうしようか。

カナエは考える。

このまま放置して帰ってもいいんだけど、コイツらが誰なのか、俺に何の用があったのかも気になる。

男は明らかに俺に用があったが、その知り合いである女は偶然俺と会ったみたいだったし。

よし!尋問しよう!

久しぶりのハッキング行為に、実はカナエは少しワクワクしていた。

さーて。どの情報を使って脅そうかなぁ。

今のハッキングで個人情報はあらかた手に入れたんだよね。

ただ、どこの組織に所属しているかはわかんなかった。

もうちょい時間かけりゃセキュリティやぶれるけど、めんどくさい。

でもだいぶ極秘になってる情報あったな。これは大きな組織かもしれん。

カナエはそんなことを考えながら、2人から盗った個人情報を見ていた。

そこまで考えていたところで、カナエは自分がそんな悠長なことをしている暇は無いことを思い出した。

「・・・諸事情により今回は見逃す。次俺になにかしてこようとしたら、問答無用で潰すから」

そういって、カナエは立ち去ろうとした。

「まて」

・・・なんだこの組織の人は。どんだけ俺引き止めたいんだよ。

「悪いけどあんた達と話すこと無いんで」

「少しでいいから話しを聞いてくれよカナエ君」

カナエはなぜ名前を知ってるのかは聞かずに、そのまま立ち去ろうとした。

男は、1つ、大きく深呼吸をした。まるで、自分を奮い立たせるかのように。

そしてゆっくりと、こう言った。




「《アイアンレイヴン》そう呼べば話を聞く気になってくれるかな?」





カナエの動きが止まった。


・・・・まて。なぜその名を知っている。



カナエは自分が聞いた言葉が信じられなかった。

《アイアンレイヴン》?

なんでこんな奴が、俺のハッカーとしての名前を・・・


な ん で 俺 の 正 体 を 知 っ て い る ?


今まで誰もいなかった場所、否、2人にとって今まで誰もいなかったかのように見えていた場所に、カナエが現れた。

「!?」

女は消えた時と似たようなリアクションをしていた。

男は黙ってカナエを見ていた。

「どうして俺の正体を知っている?」
作品名:Re:future 作家名:みーた