Re:future
【end of the world 】
ビーッ!ビーッ!
予知・観測機関に、異常事態のアラームが鳴り響く。
「嘘だろ・・・・」
観測所職員である男は、モニターを見てつぶやいた。
今日も1日、平凡に続くであろう未来を観測する予定だった。
なぜ?なぜこんなことに?
「おい!なにボサッとしてる!!お前も何か対策を立てろ!」
先輩からの罵声が飛ぶ。
無理だ。どうしようもない。
未来は消滅する。
今、この時
人 類 の 滅 亡 が 確 定 し た
【prologue】
1年後に、未来の消滅が確認された。
火山の噴火?彗星の衝突?
いくつかの候補はあるものの、理由はまだ判明していない。
しかし、人類が消滅するのは確定している。
未来予知・観測機関[S F O]はこの事態の解決策を打ち出した。
それは人類の特異点、つまり自らの意思で未来を変えられる者に、人類の滅亡を止めてもらうというもの。
口先では簡単に言っているが、有効な打開策ではない。
なぜなら、自らの意思で未来を変えることができる者(以降は特異点と呼ぶ)は、自覚がなく、探す手段もほとんどない。
可能性としては、過去に未来を変えた経験のある者(偶然の可能性もある。というか、ほぼ偶然)に接触を図り、再び未来を変えれるのか検証する。
変えれたのなら、その者が特異点となる。
「うう・・・む、難しい」
今の説明で頭がパンクしている彼女の名は、クラン・ソラノ。
今難しい説明をしたのはこのオレ、カイル・コーバー。
目的地まで車で移動していて、ヒマなのでこれまでの状況をおさらいしたいとクランが言ってきたのだ。
カイルは割とわかりやすく説明したつもりだったが、クランはあまり理解できていないようだった。
この物覚えの悪い後輩はどうにかならんかね・・・・
「はぁ・・・・つまりだな」
要約するとこうだ。
・人類の滅亡が確定した。
・平穏な未来を取り戻すには、特異点を探さなければならない。
・特異点に、人類が滅亡する未来に行かないようにしてもらう。
「未来って確か、分岐点がたくさんあるんですよね?」
「そーだな。木をイメージするとわかりやすい。基本的には1本の大きな人類が歩む基準となる幹があるんだ。それを世界線という」
なんだか学校の授業みたいになってきたな。
カイルはそう思いながらも、話を続けた。
「そして、世界線から未来は細かく枝分かれしている。でもまぁ大体の未来はまた元の世界線、つまり基準となる未来に戻ってくる」
「ってことは、その未来に至るまでになにが起こるかが、枝分かれしてるわけですね?」
「まあそんな感じ。んでもって、たまに枝分かれした枝が別の未来の基準となる幹(世界線)と繋がってたりするんだ」
ちなみに、とカイルは言う。
「枝分かれさているのは確認されているが、その内容までは予知できなかった。つまり、何をすれば別の世界線に行けるかはわかっていない」
「その別の幹に人類を導く事ができる可能性があるのが?」
「特異点候補、HOPER(ホーパー)と呼ばれる者たちだ。過去の偉人で例えるなら、エジソンやニュートン、ガリレオなんかもHOPERだな」
「でも彼らは未来を変えようと思ったわけじゃないんっすよね」
「そういうこと。自分が行った行為が結果的に世界線を変えることになったが、本人たちに自覚はない」
「へぇ~」
・・・・コイツホントに理解しているのか?
「っと、そんな事をしているうちに見えてきたぞ。調査でHOPERがいるとわかった町だ」
カイルたち[S F O]は、先ほど言ったHOPER達を探し出し、接触。
未来を変える特異点となる者かどうか判断する。
そのため、世界各地に職員を派遣し多くのHOPER達と接触を図っている。
調査を開始してから3ヶ月が経つが、やはりというのか、特異点は見つかっていない・・・・
【Chapter1《possibility》】
「はぁ・・・就活、ダメだったな・・」
ある日のお昼過ぎ。公園のベンチで1人、肩を落としている1人の大学生がいた。
その男は、すこし長めの髪の毛にうっすらと浮かぶ目の下のクマ、お気に入りのパーカーは黒で、全体的に黒いという印象を受ける。
彼の名は、天羽 湊(あまは かなえ)
大学生。そろそろ就職先が決まってないとやばい時期。そんな時期に失敗した男である。
ブイーーッ ブイーーッ
ポケットの中で、スマホがなる。
「いよーーーーっす!俺の事覚えてる??ねえ?覚えてる!?百鬼 新(ももき あらた)だぜーーーん!」
ケータイからは元気いっぱいの声が聞こえる。
昼間っからうるせぇなコイツは。
「覚えてるからちょっと静かにしろよ。アラタ」
「いやーー、ね!カナエ君が就職先見つけたかなーーって思って!さ!どうだった?ダメだった??」
「おい。普通ダメだった?とは聞かないだろ」
コイツ、電話じゃなければぶっ飛ばしてたな。
「御察しの通りダメでしたよ!ゴメンね!」
スマホの向こう側から笑い声が聞こえる。
次会ったら覚えとけよ・・・・
「お前さぁ、数年前に世界救ったってのに、就職はできないってどうなってんの?」
カナエが過去に世界を救ったことがあるのは確かだった。だが
「あれはネット上の話!」
「お前みたいなやつ雇ってくれる所はたくさんあるだろ」
そう。この事実を世間に公表すれば、カナエは一躍有名人。雇ってくれる組織はたくさん名乗り出るだろう。
「俺は目立ちたくねーの。普通が一番だよ」
「もったいねぇな」
「だから、誰にも言うなよ?この事お前しか知らないんだから」
大親友であり、最も信頼しているアラタしか事情は知らない。
まあ、アラタにもほとんど教えてはいないが。
「もっちろんよぅ!」
アラタが元気いっぱいに答える。
「んじゃ、いい報告あったらまた聞かせてなーー!あと、楽しそうな事があっても教えろよ!」
「はいはい」
そう言って、カナエは電話を切った。
さっきはアラタのテンションに乗せられて忘れていたが、就活がダメだったという現実が、ふたたびカナエを襲った。
______未来歴99年。
インターネット、電子機器の発展により、未来が予知・観測できるようになった時代。
未来を見通す事のできる技術。
それにより西暦は終わりを迎え、未来歴という新しい時代が幕を開けた。
未来がわかる力。それは災害などを予測できるという利点だけではなかった。
自らの未来を知り、それを変えるために手段を選ばない者。
未来を知り、絶望し自ら命を絶つ者。
一つしかない未来を変えてはいけないと言う理念のもとに立ち上げられた集団「OotF(オートフ)」による、未来を変えようとする者達の妨害。
妨害という行為は、結果未来が変わらないのであれば、殺人すらも行った。
このような事態におちいったため、世界連合は緊急会議を開き、未来を知る力を、一つの組織にしか使えないようにした。
それが、未来予知・観測機関「S F O」である。
ビーッ!ビーッ!
予知・観測機関に、異常事態のアラームが鳴り響く。
「嘘だろ・・・・」
観測所職員である男は、モニターを見てつぶやいた。
今日も1日、平凡に続くであろう未来を観測する予定だった。
なぜ?なぜこんなことに?
「おい!なにボサッとしてる!!お前も何か対策を立てろ!」
先輩からの罵声が飛ぶ。
無理だ。どうしようもない。
未来は消滅する。
今、この時
人 類 の 滅 亡 が 確 定 し た
【prologue】
1年後に、未来の消滅が確認された。
火山の噴火?彗星の衝突?
いくつかの候補はあるものの、理由はまだ判明していない。
しかし、人類が消滅するのは確定している。
未来予知・観測機関[S F O]はこの事態の解決策を打ち出した。
それは人類の特異点、つまり自らの意思で未来を変えられる者に、人類の滅亡を止めてもらうというもの。
口先では簡単に言っているが、有効な打開策ではない。
なぜなら、自らの意思で未来を変えることができる者(以降は特異点と呼ぶ)は、自覚がなく、探す手段もほとんどない。
可能性としては、過去に未来を変えた経験のある者(偶然の可能性もある。というか、ほぼ偶然)に接触を図り、再び未来を変えれるのか検証する。
変えれたのなら、その者が特異点となる。
「うう・・・む、難しい」
今の説明で頭がパンクしている彼女の名は、クラン・ソラノ。
今難しい説明をしたのはこのオレ、カイル・コーバー。
目的地まで車で移動していて、ヒマなのでこれまでの状況をおさらいしたいとクランが言ってきたのだ。
カイルは割とわかりやすく説明したつもりだったが、クランはあまり理解できていないようだった。
この物覚えの悪い後輩はどうにかならんかね・・・・
「はぁ・・・・つまりだな」
要約するとこうだ。
・人類の滅亡が確定した。
・平穏な未来を取り戻すには、特異点を探さなければならない。
・特異点に、人類が滅亡する未来に行かないようにしてもらう。
「未来って確か、分岐点がたくさんあるんですよね?」
「そーだな。木をイメージするとわかりやすい。基本的には1本の大きな人類が歩む基準となる幹があるんだ。それを世界線という」
なんだか学校の授業みたいになってきたな。
カイルはそう思いながらも、話を続けた。
「そして、世界線から未来は細かく枝分かれしている。でもまぁ大体の未来はまた元の世界線、つまり基準となる未来に戻ってくる」
「ってことは、その未来に至るまでになにが起こるかが、枝分かれしてるわけですね?」
「まあそんな感じ。んでもって、たまに枝分かれした枝が別の未来の基準となる幹(世界線)と繋がってたりするんだ」
ちなみに、とカイルは言う。
「枝分かれさているのは確認されているが、その内容までは予知できなかった。つまり、何をすれば別の世界線に行けるかはわかっていない」
「その別の幹に人類を導く事ができる可能性があるのが?」
「特異点候補、HOPER(ホーパー)と呼ばれる者たちだ。過去の偉人で例えるなら、エジソンやニュートン、ガリレオなんかもHOPERだな」
「でも彼らは未来を変えようと思ったわけじゃないんっすよね」
「そういうこと。自分が行った行為が結果的に世界線を変えることになったが、本人たちに自覚はない」
「へぇ~」
・・・・コイツホントに理解しているのか?
「っと、そんな事をしているうちに見えてきたぞ。調査でHOPERがいるとわかった町だ」
カイルたち[S F O]は、先ほど言ったHOPER達を探し出し、接触。
未来を変える特異点となる者かどうか判断する。
そのため、世界各地に職員を派遣し多くのHOPER達と接触を図っている。
調査を開始してから3ヶ月が経つが、やはりというのか、特異点は見つかっていない・・・・
【Chapter1《possibility》】
「はぁ・・・就活、ダメだったな・・」
ある日のお昼過ぎ。公園のベンチで1人、肩を落としている1人の大学生がいた。
その男は、すこし長めの髪の毛にうっすらと浮かぶ目の下のクマ、お気に入りのパーカーは黒で、全体的に黒いという印象を受ける。
彼の名は、天羽 湊(あまは かなえ)
大学生。そろそろ就職先が決まってないとやばい時期。そんな時期に失敗した男である。
ブイーーッ ブイーーッ
ポケットの中で、スマホがなる。
「いよーーーーっす!俺の事覚えてる??ねえ?覚えてる!?百鬼 新(ももき あらた)だぜーーーん!」
ケータイからは元気いっぱいの声が聞こえる。
昼間っからうるせぇなコイツは。
「覚えてるからちょっと静かにしろよ。アラタ」
「いやーー、ね!カナエ君が就職先見つけたかなーーって思って!さ!どうだった?ダメだった??」
「おい。普通ダメだった?とは聞かないだろ」
コイツ、電話じゃなければぶっ飛ばしてたな。
「御察しの通りダメでしたよ!ゴメンね!」
スマホの向こう側から笑い声が聞こえる。
次会ったら覚えとけよ・・・・
「お前さぁ、数年前に世界救ったってのに、就職はできないってどうなってんの?」
カナエが過去に世界を救ったことがあるのは確かだった。だが
「あれはネット上の話!」
「お前みたいなやつ雇ってくれる所はたくさんあるだろ」
そう。この事実を世間に公表すれば、カナエは一躍有名人。雇ってくれる組織はたくさん名乗り出るだろう。
「俺は目立ちたくねーの。普通が一番だよ」
「もったいねぇな」
「だから、誰にも言うなよ?この事お前しか知らないんだから」
大親友であり、最も信頼しているアラタしか事情は知らない。
まあ、アラタにもほとんど教えてはいないが。
「もっちろんよぅ!」
アラタが元気いっぱいに答える。
「んじゃ、いい報告あったらまた聞かせてなーー!あと、楽しそうな事があっても教えろよ!」
「はいはい」
そう言って、カナエは電話を切った。
さっきはアラタのテンションに乗せられて忘れていたが、就活がダメだったという現実が、ふたたびカナエを襲った。
______未来歴99年。
インターネット、電子機器の発展により、未来が予知・観測できるようになった時代。
未来を見通す事のできる技術。
それにより西暦は終わりを迎え、未来歴という新しい時代が幕を開けた。
未来がわかる力。それは災害などを予測できるという利点だけではなかった。
自らの未来を知り、それを変えるために手段を選ばない者。
未来を知り、絶望し自ら命を絶つ者。
一つしかない未来を変えてはいけないと言う理念のもとに立ち上げられた集団「OotF(オートフ)」による、未来を変えようとする者達の妨害。
妨害という行為は、結果未来が変わらないのであれば、殺人すらも行った。
このような事態におちいったため、世界連合は緊急会議を開き、未来を知る力を、一つの組織にしか使えないようにした。
それが、未来予知・観測機関「S F O」である。