小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

からっ風と、繭の郷の子守唄 第46話~50話

INDEX|7ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


からっ風と、繭の郷の子守唄(48)  
「大木へ滝のように降り注ぐのは、2000リットルを超える消毒液」

  「親方。全部OKよ。いつでも発射、オ~ライね」

 真っ白い歯を見せて、運転席でイスラエルのイチローが笑う。
団員たちが、消毒専用車の周囲へ集まってくる。
収納スペースから、劇薬を散布するときに用いる道具が取り出される。
農薬用の防護マスク。保護用のメガネ、膝まで隠れる長靴。
全身を覆うビニール合羽。きわめて厚手のゴムの手袋などなど。
次から次へと取り出され、団員たちに配布されていく。

 「もう一度、確認しておく。
 体調の優れない者や、疲労している者は、散布作業には参加しないこと。
 女が居るからといって、格好をつけて無理することはない。
 それから時折、風が急激に向きを変える。
 油断するな。間違っても薬が届いてくる風下には立つな。
 それからもうひとつ、これがもっとも大切なことだ。
 散布作業をしている間は、絶対に、保護メガネと農薬用マスクを
 外さないこと。
 遠くに離れていても、飛沫やガスはどこからでも飛んでくる。
 自分の身は自分で守ること!
 いいな。わかったな!。頼んだぜ・・・・
 こんなところでいいかな、長老。他に注意することがあれば付け加えてくれ。
 なにもなければこれから全員で、消毒作業へかかる。以上だ」