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からっ風と、繭の郷の子守唄 第46話~50話

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 「うむ。問題はそれじゃ。
 ゆえに男女の仲だけは、第三者が介入しにくい。
 男と女の行く末というものは、死ぬまで結果はわからぬものじゃ。
 うまく添えるのも運。添えぬのもまた運、どちらも運によって左右される。
 男と女の1歩先のことは、誰にも見えぬし、本人たちにも予測がつかん。
 わしは別に、康平へ見合いをすすめているわけではないぞ。
 この大木の一ノ瀬の悲惨な様子を見上げて、嘆いておった女の子が居た。
 難局をうまく片付けて、この桑の木が元通りの綺麗な姿を取り戻すと、
 感謝の気持ちで康平の前へあの子が現れる、というのがわしの書いた筋書だ。
 知っておるだろうお前も。千尋という女の子のことを」

 「あっ。京都から来た子でしょ。
 座ぐり糸作家を目指しているという、あの女の子。
 桑の葉が欲しいと言って、昔、養蚕していたわたしの実家に訪ねてきた。
 彼女もまだ独身なのか。へぇぇ・・・・
 ということは美和子にとって、強力なライバルが登場したことになる。
 面白くなりそうな展開です、この先が。
 そうなるとあたしの横恋慕は、無駄という結果になる訳ですねぇ。
 仕方がない。康平くんとは縁がなかったと思って、また別の男を探します」

 「それがよかろう。
 お前さんもそれだけの器量よしだ。男なんぞすぐ見つかるだろう。
 脇目も振らず、男へ猛アピールをしていくその積極性がなによりも良い。
 ただしお前さんの場合、長続きしないことが、唯一の欠点じゃ。
 どうしておる娘は。たしかもう、小学校の高学年であろう」

 「来年は、中学生になります。
 あたしの色恋沙汰よりも、娘の恋愛の方でバタバタしそうです。
 わたしも、そんな年代にさしかかりました。
 でもさぁ。ここだけの本音で、やっぱり三十路で一人寝は
 寂しいものがあるもの。
 別れなきゃ良かったぁなんて、本気で悔やむ夜もあります。
 男には懲りたはずなのに、なぜかまた懲りずに次を好きになるんだから、
 女は不思議です。ねぇぇ、おじいちゃん!」


 「そのとおりじゃ。
 なるようにしかならぬ。それが男と女の運命じゃ。
 それが理解できるようになるには、わしのように80年近くもかかる。
 若いうちはおおいに迷い、せいぜい恋をして、たっぷり泣くことじゃ。
 自分が信じた道を、迷わずにまっすぐに突きすすむ。それが肝要じゃ。
 結果は、後からついてくる。
 なにがあろうとも決して希望を失わないことじゃ。
 そうすれば、明るい未来は必ずやってくる。
 明日は今日よりも美しい日になる。そう信じて自分の道を
 歩きぬくことじゃ。 人生とは。
 なぁお若いお二人さん。あっはっはっは!」