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からっ風と、繭の郷の子守唄 第46話~50話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(50)  
「呑竜マーケットへ、『はい』という素敵な返事をする美女がやってきた」

 蚕の飼育は、桑の葉が採れる5月から9月頃までが最盛期になる。
蚕は卵から孵ると、およそ25日目で繭をつくる。
その間、眠ったように静止する眠(みん)と脱皮を4回くりかえす。
糸を吐き、繭の中で蛹になった蚕は、2週間ほどで成蛾になり外へ出てくる。 

 成蛾が出てしまった繭は、練って紬糸にすることができる。
しかし、生糸にすることはできない。
生糸をつくりだすためは、成蛾が出る前に生繰りするか、
繭から蛾が出てこないように虫殺しの処理をしなければならない。
そのため熱風を使い、乾燥させてしまうのが一般的なやり方だ。

 蚕は、飼育される時期によって呼び方が変わる。
5月頃の春蚕(はるご)から始まり、夏蚕(なつご)、初秋蚕(しょしゅうさん)、
と続き、9月の晩秋蚕(ばんしゅうさん)で終わりをむかえる。
場合によって晩々秋(ばんばんしゅう)までおこなう農家もある。
繭もまた同じように、春繭、夏繭、初秋繭、晩秋繭と呼ばれる。