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第二章 サイドストーリーは突然に

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「その人・・誰?」
ヒロキは、けげんそうな顔をして私を見て言った

「あ・・」

どうしよう?なんて・・言おう?
彼、リョウセイさんのこと何も知らないんだ

「・・・。」

リョウセイさんは、私たちを見て黙って立っていた

「知ってる人・・?」
固い探るような表情をしてリョウセイさんを見ながらヒロキは言った

「え? え・・ぇ・・と。あの・・う・・ん」

私は何をどう説明していいものか困って
何を言っているのか、もうしどろもどろに・・
でも、何を隠すことがある?
でも、どう言えばいい?

「あ〜ぁ、驚かせてしまってすいません!
いえ、違うんですよ。彼女とは初対面で・・」

「え?」
「えぇ!?」
微妙に違う音程でハモった、私とヒロキの声
(・・え、何を言うつもりなんだろうリョウセイさん?)

フ・・と、少し口元だけ笑ったリョウセイさんが
ヒロキに向かって言った

「ちょっと、人違いをしちゃいましてね。
ここで、ある人を待っていたんだけど
その人に彼女が、あまりにそっくりで、思わず声をかけてしまったんです。」

「は?」
「はぁ??」
さっきと同じく似たようなリアクションをしてしまう私たちに
何か感心するようにリョウセイさんは言った

「いや、お二人・・すごく息がぴったりですね・・(笑)
いや、失礼! 初対面の方にぶしつけなことを言ってしまって!
と、いうわけで・・単なる人違いだったんですが、
本当に勘違いしたまま話しかけてしまったので彼女を戸惑わせてしまった。
本当に失礼しました。」
そういうと軽く頭を下げて謝ってくれたリョウセイさん

ヒロキは得心したようにこう言った。
「そうでしたか・・。人違いでしたか。よっぽど似ていたんでしょうね。
すっかり間違えるほどだなんて」
「ええ、僕も驚きました」

リョウセイさんが次から次へと思わぬことを言うので面食らって彼をまじまじと見てしまう。

「そうですか・・、早く来るといいですね。その彼女。」
「え、ええ。そうですね。
早く来てくれたら・・と思ってこうして待っているんですが
なかなか来てくれないんですよ。彼女」
自然な演技だ。本当にそうだったっけって思っちゃうわ・・
って、え?何て言った今?

「約束を忘れちゃったのかな?彼女。」
「どうでしょう?会ったらちゃんと本人に聞いてみないとね。
ね、そう思うでしょ?」
ふ・・と、こちらを見て自然に笑うリョウセイさん

『自分に自信を持ってがんばるって約束』のこと言ってるのかな?
そう思ってちょっと考えてから私はこう返事をした。

「ええ、そうですね。でも、きっと・・
忘れていない・・と思いますよ。」

「そうかな?」
「ええ」
リョウセイさんは、なにげない風な顔をしてそう返し
私はさりげなく返事をした。

ただそれだけのこと

ヒロキが横で、あれ?て顔をして私を見たような気がするけど
そのまま気がつかないフリでごまかした。

「では、失礼します。」
とヒロキがリョウセイさんに言ったので話は終わり
私たちは自分の席に座った。

リョウセイさんはまたさっきと同じ隣の席に座ったので
私がヒロキを見ると彼がこちらを向いて座っているのが見える。
隣の席じゃ、ヒロキと話すのが聞こえちゃうんじゃないかなぁ?
なんだかそう思うと、ちょっと落ち着かない

心がふわふわと上の空になってしまって
ヒロキとの会話もなんだか頭の中に入ってこなくなる。

「ね、どうしたの**子。ちゃんと聞いてる?」
「え? あ、ごめん!
ちゃんと・・聞いてるよ。 って・・あ・・うわぁ!?」

「何!?」
「ごめん!コーヒーこぼれちゃった!」

砂糖とミルクを入れる時うっかり手がカップに触れ
思いっきりテーブルにぶちまけてしまったコーヒー。

「ああ!どうしよう!?ごめんなさい・・」
「拭くのをもらってくる・・」

「ごめんね!」
しょんぼりしながらバッグから、ティッシュとハンカチを出すと慌ててテーブルを拭く

「あ、洋服にもちょっとかかっちゃった!? うわぁ大変!!」(><;)

「大丈夫?」
ヒロキが店に入っていったと同時にがこちらに話しかけてきたリョウセイさん。
コーヒーこぼして動揺しちゃってるのにさらに動揺しちゃうじゃないか!

えっと・・見ての通り。
あんまり大丈夫じゃないかも・・」
「あらら・・」