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わたなべめぐみ
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小説を書くこと

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2.視点のこと(男性視点と女性視点) 2016/01/19



大学のゼミで添削を受けて以来、
「視点の切り替えは最低限章ごとで」という教えを守ってきましたが、
今の悩み事は、女性視点、男性視点それぞれの書き方です。

女性なら女性視点で書いたものがほとんどで、
男性なら男性視点で書いた作品が多くを占めると思います。

私は今のところ、『紫音』は女性視点、『ファースト・ノート』は女性視点と男性視点が章ごとに切りかわり、『切れない鋏』は、女性→女性→男性→男性→女性と変わっていきます。

これにはいろいろ訳があるのです。


まず初めに断っておきますが、私は女性です)^o^(
でも女っぽいかと言われれば、まったくそうではありません。

(これも断っておきますが、一応見た目も中身も女性で、恋愛対象は男性です)

世の中の女性の大半が、9:1もしくは8:2で、女:男の成分を持っているとすると、私の中身はおそらく6:4=女:男です。

持って生まれたものもありますし、
年の近い弟との泥沼戦の末、鍛えられた部分もある(と思いたい)のですが、
中学~高校の頃は、切に「男子に生まれたかった」と思ってました。

トランスジェンダーとはちょっと違います。
女性だという認識はあります。男要素が多いだけなんです。

なので、女子と徒党を組んでる時より、
気の置けない男子の友達と話しているときの方が気が楽で、
バレンタインデーには女子からチョコをもらう的な高校生でした。
高校が私服だったこともあって、無理に女子らしい恰好をする必要がなくなり、思い切り個性を解放してもらえたのもありがたかったです。

こんな私ですから、詩や歌詞を書くと、当然のように一人称が「ぼく」になります。別に取り繕ってるわけじゃなく、それが自然でした。
当時から、男子もしくは男性から「女性らしいものを書いてほしい」と言われていましたが、正直書けないんですよね。そんなの。
自分の要素にないんですから。
無理して書いて、それで好評価をもらったこともないですから、
やはり向いてなかったのだと思います。

一人称「私」を使って小説を書くことを意識したのは、実は『紫音』が初めてでした。
ゼミで初めての小説で、さすがに「ぼく」を使う勇気はなく、真っ向から自分と向き合うことになりました。

そういうこともあって、主人公の葉月は、もうひとりの主人公真夜に比べると、キャラ付が甘くなってしまいました。
かといってどうすればいいのかという案もなく。
当初、『紫音の夜』にも『ファースト・ノート』にも女性の登場人物は主人公以外に存在していなくて、「女なのに女性が書けないとか、こりゃまずいんじゃないか」と気づきました。

10代の頃に目指した男でも女でもない「中性的な自分」は、小説を書く上では致命的だったんです。

関西圏に住んでいることもあって、標準語の女性言葉もロクに書けないし、
こりゃまずいとますます焦燥感はつのり、必死になって「女性登場人物」について、本やドラマで研究する羽目になりました。

自分は自分でいいんじゃなく、男性の物の考え方、女性の捉え方、そんなことをはっきり意識していくうちに、登場人物も個性を持つようになりました。

そこで思い切って『ファースト・ノート』のときに、男性、女性の両側から物語を書くことにしました。
『切れない鋏』のときはもっと強く意識して「男」と「女」の違いを書くようにしました。

みなさまに感想をいただいたところ、登場人物のかき分けは上手くいったようだったので、目指したところは間違ってなかったのだと思います。

特に、有川武の視点で書いた第四章が好評価をいただけたことが驚きでした。

男性視点はまあまあ書けたようだ…で、今の悩みは「女性視点」をちゃんと書けてるかということですね(^_^;)
情けない話ですが、あたり前のことほど難しいことはない…
こちらの方がまだ切磋琢磨する必要がありそうです。

……とか言いながら、今、男性視点オンリーの長編を書き始めています。
今度は徹底的に、女性のドロドロ怖いやつを書いてやろうと思ってますが、
果たしてうまくいくでしょうか(@_@;)

視点のこと、みなさまが意識していることや難しく感じていることを教えていただけたらと思います!

作品名:小説を書くこと 作家名:わたなべめぐみ