小説を書くこと
4.会話文のこと 2016/01/25
『生きてきた足あと』を読まれた方はご存知かと思いますが、
私は大阪出身のコテコテ関西人です。
日常会話はすべて関西弁です。
「ほなはよいこか」←標準語にすると、「じゃあ、早く行こうか」が近い?
「せなあかんやろ」←「しないといけないでしょ」でしょうか(^_^;)
地の文は、小学生のときから作文を書かされたり、
受験で小論文の練習をしたりでまあまあまともな文が書けていましたが、
小説を書き始めて最初にぶちあたったのが「セリフの壁」でした。
とにかく、自然な「標準語のセリフ」が書けない!(+o+)
特に関西弁は語尾に「男言葉」「女言葉」の違いがあまりなくて、
標準語にははっきり表れるその「違い」を上手く使えませんでした。
「ほなはよいこか」「せなあかんやろ」と標準語を見比べてもらえばわかると思いますが、言いたいことのイメージを標準語にしたとき、ニュアンスが微妙に違うんですよね。
初めの頃はどうしても脳内の会話が「関西弁」になっていて、
登場人物に自然な標準語を使わせるのが大変でした。
こればっかりは訓練しかない、と思い、
本を読み、ドラマやアニメの会話文を聞き取り、自分の中に「標準語のセリフ」を耕していきました。
今ではようやく脳内でも「標準語のセリフ」を考えられるようになり、書くスピードが飛躍的にアップしました。
これは方言のある地方に住む作家さんすべてに共通する壁であり、
なんとか乗り越えるように、と添削の先生にも言われていました。
もちろん方言を活かした作品を書くこともできるのですが、
それは標準語を正しくかけてからにしよう…と自分に言い聞かせて封鎖することに(^_^;)
方言を使うときは、たとえば土地名がでてきたり、
どうしても方言を使わなければいけない理由があるときだけ、
とも言われていたので、ちゃんと区別して使いたいですね。
……とはいえ、気づかないうちに方言を使ってることもありますよね。
正しいと思ってた言葉が、じつは方言だった!という衝撃(@_@;)
じつはそれ、今日(2016/01/25)あったんです…
コーラスの帰り、大阪出身のお友達に、
「渡辺さんって、初めて会ったときに山本さんのことを『やまもっさん』って呼んでたから、すぐ大阪出身ってわかったわ~」って……
え?マジで?
ていうか、『やまもっさん』って言ってたっけ!?(@_@;)
……と帰路につくなか、必死で反芻してみる…
たしかに「山本さん」と発音してない…「やまもっさん」ってゆってるー!(←「言う」を「ゆう」と発音するのも関西弁の多くに見られますね。ほとんどの子が小1のときに作文で訂正されて気づきます)
激震でした。ほんまに。
自覚全くなかったんですから。
「やまもっさん」が大阪弁だってことも初めて知りました。
文章を書くときは極力方言が混じらないように気をつけていますが、
そこらじゅうに大阪弁エッセンスが入り混じってるのかと思うと、
おそろしくなりますね…(↑「ほんまに」が大阪弁だという自覚はあります)
エッセイの方はくだけた感じで関西弁を使わせてもらってますが、
もし小説の方に(しかも地の文に)顔をのぞかせてたら、教えてください(>_<)
こればっかりは自分ではどうしようもないので…
会話文の難しさは他にもあって、
どれくらいの長さまでなら読みやすいか、とか、
何回まで続けてセリフでもいいか、とか、
地の文とのリズムとか…いろいろありますが、
これに関しては決まった方法はなく、作家さんの個性が出るところだと思います。
私の決まりごととしては、
・一言(「そうだね」等)だけなら4、5回は繰り返せる。
(地ABABA地)
・2~3文になるなら、AとBのセリフのあとに地の文をはさむ。
(地AB地AB地)(地ABA地)
・長いセリフは、説明や語りが必要な時だけ使っていい。あまりに長いと読みづらいので、適宜、地の文をはさむ。(地A地A地)
・それが本当に必要なセリフかよく考える。
(何気ない返答「うん」「いいえ」や挨拶「こんにちは」「こんばんは」は提示する必要があるときだけ使う。地の文に置き換えられる場合は、要検討「うん」→うなずいた。「いいえ」→首を横にふった。「こんにちは」→挨拶を返した、など)
考えるのは、読んでるときに息切れしないか、ということです。
会話文が続くと「落としどころ」が見つけられなくて、読んでいてつらくなってきますね。
あとは基本的なことですが、誰が話しているのか、
どんな人が読んでも理解できるように地の文に折りこむことでしょうか。
日本語は「主語を省略する」美学があるので、加減がむずかしいところですが、これも自分のリズムと相談しながら、とにかく読み手に伝わるように提示することは必要だと思います。
同性同士三人とかで会話してると、本当にわからなくなってくるので…(^_^;)
あとは、あんまり奇抜な言葉とか流行りの言葉は使いません。
それが好きな人は個性として受け止めてくれますが、嫌悪感を抱く人はもうその言葉が出現しただけで、小説全体を読んでくれなくなりますので。
その時は流行でも、あとから読むとおそろしく時代遅れな感じになってしまうのもこわいですね。
「チョーイケテルぅ」←私が高校~大学時代は最先端の若者言葉でしたが、今使うと「古臭い」と言われる気がする(^_^;)
できるだけいろんな世代が違和感なく読めるように、というのは私の目標でもあります。
セリフの難しさ、きっとほかにもあると思います。
皆さんが苦労されていること、その改善方法など、ぜひお聞かせください!