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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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乙女たちの幻想曲 第2回 風の吹く場所へ

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 不気味な森を2人で進むと、1本の木の枝に止まっているはちみつ色のフクロウのような姿の鳥を見た。風美歌は例によって立ち止まり、それを見つめた。そんな彼女に、颯が再三尋ねた。
「何が見えますか」
「何か鳥が見える。フクロウやろか」
 フクロウに似た鳥は、風美歌たちの会話が聞こえていたのか、2人のほうを向いてかわいい声で鳴き始めた。鳥が鳴き終わると、目を閉じたまま、颯が口を開いた。
「鳥さん、鳥さん、風の吹く所へ私たちを案内してくれますか」
 彼の問いに答えるかのように、鳥はかわいらしくさえずった。この様子を見た風美歌は、目を皿のようにして鳥と青年を見比べた。
「え?え?颯はん、あんた、鳥と話ができるん!?」
「はい、あまり得意ではありませんが」
 もしかしたら、この人は視力をなくした代わりに、このような人間離れした能力を得たのかもしれない。そんな憶測が、風美歌の脳内を巡った。

 ほどなくして、颯はうつむき加減のまま言った。
「この鳥さんが、私たちの行こうとしている所まで案内してくれるそうです。付いていきましょう」
 風美歌は、状況が分かったのか分からないのか、一応うなずいた。