乙女たちの幻想曲 第2回 風の吹く場所へ
地上を押しつぶしてきそうな曇り空の下、少女と青年は寂れた道を歩いた。その途中、風美歌は青年に尋ねた。
「お兄さん、名前聞いてもええですか」
「はい、辻颯(つじ はやて)と言います」
「颯はん。かっこいい名前ですね」
辻颯と名乗る青年は、軽く照れ笑いした。
「あなたの名前も、聞いていいですか」
「うちは…永島風美歌です」
「風美歌さん。かわいらしい名前ですね」
「あ、ありがとうございます」
そのようなやりとりをしているうちに、2人は妖しい雰囲気の漂う森の入り口らしき所に来た。風美歌は、一瞬おびえたような顔をしたが、強くうなずくと森に入っていった。
作品名:乙女たちの幻想曲 第2回 風の吹く場所へ 作家名:藍城 舞美