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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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乙女たちの幻想曲 第2回 風の吹く場所へ

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風の吹く場所へ


 これは、永島風美歌(ながしま ふみか)がいつか見た夢である。

 彼女に程近い位置に、背が高く、髪の長い1人の青年が居た。彼は、うつむいた状態で、右手で両目を覆っている。
 その青年の普通でない様子を見た風美歌は、思わず彼に近寄って心配そうに尋ねた。
「何かあったんですか」
 男性は、弱々しく手を差し出して、言った。
「手を…引いてください。風の…吹く場所まで」
 風美歌は驚きを声に出したが、すぐにうなずきながら答えた。
「分かりました。一緒に行きましょう」
 そして、青年の手を取った。そのとき、彼女の鼓動は少しだけ激しくなった。面識のない男性の手を引いていくなど、何だかどきどきする。しかし、彼女は前に進んだ。視力をなくした青年の手を引いて。