からっ風と、繭の郷の子守唄 第40話~45話
からっ風と、繭の郷の子守唄(42)
「古老が語る『沈黙の春』という言葉の持つ意味は・・・・」
「で、どうする。康平。相手は強敵だ。
それなりに覚悟を決めて取りかかる必要がある。
巣食っている枝を片っ端から切り落とすにしても、高所作業車か、
足場が必要だ。
これだけの量の枝を焼却処分するにしても、これまた大変な手間になる。
この木を、枯れ木に変えちまったら、あの子が心底嘆くじゃろう。
せっかくの銘木、一瀬(いちのせ)だ。
残してやりたいもんじゃのう、あの子のために」
「あの子?・・・誰なんですか、その嘆く女性というのは」
「女性?。まだわしは女とは言っておらんぞ。お前はなんで女と思う」
「あ。いや・・・・ただなんとなく、嘆くといえば女かと思っただけで。
他意はありません。ただの俺の直感です」
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第40話~45話 作家名:落合順平