ギブアンドテイク【後編】
週末の過ごしかた
side 高峰冒険なんて、するんじゃなかった。
「高峰?」
「ははははい!すみません!」
「いや、そこまで怯えんでも……この資料に目通しといて」
上司から渡された分厚い資料を見た。
いかん、プロジェクトの一員に選ばれて、転勤でダメージ受けてる場合じゃねーのに。
俺、弱すぎ。
「高峰、今日ヒマ?」
「あー……ごめん、今日は体調悪くて」
「そっか。じゃあまたな」
飲み会に行くのも大事な仕事のうちだが、転勤してから食欲はいよいよ風前の灯になった。
味付けが合わないとか、そういうのじゃなくて、気力の問題。
会社では気を張ってるが、家に帰ればただ疲労にまかせて寝るだけだ。
「うあー……つかれた……ーー寝れねえ……」
腹は鳴るくせに、食欲はわかない。
空腹すぎて寝れないから、寝酒を飲む悪循環。
ーー連絡を自分からはとらないとか、意地になって変な決心するんじゃなかった。
「……1ヶ月会ってないのか」
梅酒ロックが喉を通って、いつものように酔いはすぐに回った。
作品名:ギブアンドテイク【後編】 作家名:かずさ